ザカート・フィトルについて 投稿者:a 投稿日:2013/08/02(Fri) 04:04 No.642
【ザカート・フィトル第1回目】 ザカート=フィトルとは、貧しい者と裕福な者をイードの日に親しく結び付け、間近に迫ったイードをすべてのムスリムが迎えるための喜びを与え、また、斎戒の月の間の無意味な言動・行動から浄化するためにおこなわれるものである。ハディース((アッラーの御使いは、ザカート=フィトルを義務づけた。無意味な言動・行動の罪から斎戒者を浄化し、貧者に給養する。))とある。いわばラマダーンの仕上げのような義務である。
では1.誰が?、2.誰に?、3.いつ?4.どのように?5.いくら支払うのか?学んでいこう。
第1回目は1.誰が、5いくら?。
ハディース((アッラーの御使いは、ラマダーンのザカート=フィトルをすべての人に義務とした。老いも若きも、自由人であろうが、奴隷であろうが、男であろうが、女であろうが、ナツメヤシをサーア、または小麦をサーア。)) (注:サーアとは、升の単位で約2.2キロの小麦の量に当たる。) このハディースによれば、年齢・性別・貧富の差に関係なくすべてのムスリムは、ザカート・フィトルを支払わなければならないということになっている。 額は、ナツメヤシまたは小麦を1サーアとハディースに述べられているが、もちろん日本においてナツメヤシや小麦はあまり現実的ではなく、つまりこれらは主食ということなので、置き換えれば米ということになり、米1サーア分(2.2キロ)である。現物で支払ってもいいが、貨幣経済の現在ではそれを貨幣に換算して収める方が処理が簡単である。品質によって金額が変わることになるので、一応日本では1,500円/人と決めている(ちょっと高めだが、従ってもらいたい)。
具体例として、1家族:祖母、父、母、長女、1歳の赤ちゃんの5人家族では、5X1500=7.500円。
胎児については、見解が異なり、120日以上なら一人とカウントするという見解があるが、一般的には胎児はカウントしない。
また海外で支払うという考え方もあるが、それについてはマナーとして自分が所属する社会の中で支払うのがいい。
Re: ザカート・フィトルについて - a 2013/08/02(Fri) 04:05 No.643 【ザカート・フィトル第2回目】 次は3.いつ支払うかということを見てみよう。
★ザカート=フィトルが義務となる時間帯: ○ハナフィー派と一部のマーリキ派 ・・・イードの日のファジュル(曙)から ○シャフィイー派・ハンバリー派・一部のマーリキ派 ・・・ラマダーンが終ったマグリブ(夕方)から
イードの礼拝前に、ザカート・フィトルの支払いが義務となる時間帯だ。ハナフィーはわずか数時間、それ以外でも12時間少々である。日本のようにマスジド数が少なく、ムスリムも点在している状態であれば、なかなかこの義務の時間帯に支払うのは難しいかもしれない。イードが終わってしまえば、支払期限に間に合わなかったという結果になるので、できれば先に済ましておきたいものだ。 そこで次に見てもらいたい。
★先に支払うことができるか? ○マーリキ派・ハンバリー派 ・・・1日や2日早めることができる。イブヌ=ウマルが言った((サダカ=フィトルはイードの前1日か2日に渡していた。)) ○シャーフィイー派 ・・・イードの礼拝の前に支払うのがスンナである。礼拝より遅れることはマクローフであり、何の理由も無いのにイードの日より遅れることはハラームである。 ○一般的なハナフィー派 ・・・ラマダーンの間なら早めることは可能である。
これらを見渡したところ、ラマダーン中に先に支払う方が現実てきである。 シャーフィイー派は礼拝前に支払うのがスンナと書いているが、礼拝前とはひろくラマダーン月でもOKというように捉えている。 実際シャーフィイー派法学を採用しているマレーシアでは、近年ではラマダーン中にすでに各マスジドでザカート・フィトル受付カウンターなどを開設して便宜を図っているくらいである。 ハナフィー派はもちろんラマダーンの間なら可能である。
ところで、法学派は上に主要4法学派を述べている。ハナフィー、シャーフィイー、マーリキ、ハンバリーの4つである。日本では、ハナフィー法学(南アジア、中央アジア、中国、トルコなど)か、シャーフィイー法学(東南アジア、シリア、エジプトなど)が主で、どちらかの法学派にしたがうことにしよう。Re: ザカート・フィトルについて - a 2013/08/02(Fri) 04:08 No.644 【ザカート・フィトル第3回目】
2.誰に?4.どのようにについて述べてみよう。 さて誰にザカートを支払うかについては、クルアーンのこのアーヤに述べられている。
コーラン第9章60((施し〔サダカ〕は,貧者,困窮者,これ(施しの事務)を管理する者,および心が(真理に)傾いてきた者のため,また身代金や負債の救済のため,またアッラーの道のため(に率先して努力する者),また旅人のためのものである。これはアッラーの決定である。アッラーは全知にして英現であられる。 )) 上記のようにアッラーはコーランの中でザカートを受け取れる権利があるものを次の8種類の人々と定めている。 1、貧者 2、困窮者 3、施しの事務を管理する者 4、心が真理に傾いてきた者・・・・新入信者 5、身代金(奴隷の開放のために)・・・現在では考えられない 6、負債者 7、ジハードする者(戦場に赴く者、学習に赴く者など)・・・留学生はこれに当たる。 8、旅行者
この8種類のどれかの人に直接ザカート・フィトルを手渡してもよい。その時には、これはザカート・フィトルであると受け取る側にも伝える方がよい。その際受け取る側も、8種類のどれかに該当するのであれば、快く受け取ってあげるようにしよう。支払う側は自分の義務を果たせ、また、受け取る側は支払う側の義務行為に協力してあげてたと考えよう。
個人対個人のやり取りが大変な場合は、マスジド、イスラム団体などがザカートの受付・分配を行っているので、任せよう。 イスラムのホームページのイスラム便利帳(マスジドリスト)参照 http://www2.dokidoki.ne.jp/islam/benri/benriindex.htm
支払い方とすれば、各マスジドや団体に持参するのもよし、あるいは、近年では銀行振込を利用することも多い。その際、振込先を間違えないようにwebで確認することをお勧めする。
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