DTM'S DREAM         夢のDTM

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次世代DTM               Virtual Instrument (201)

先生方、今晩は!今回からのシリーズはDTM研究会の先生方へのご提案の為に私達がどの様なDTMの機能を求めているか? そしてその機能は現在既に実現しているのか。或いは近い将来において実現するのか。または当分の間は実現は困難であるのか。日本の音響工学の粋を集めても尚実現出来ない項目も含まれると思います。しかし、日進月歩のDTMの最前線では、不可能ということは有りません。昨日まで実現しなかった事が今日突然に実現することが有り得ます。それ故にDTMに関する夢を語ることは決して絵に描いた餅ではありません。それは近い将来に必ず実現する設計図でもありますから。以下は「次世代DTM」の青写真であります。
それでは順を追って私達の「
夢のDTM」の機能や単元についてご提案致します。先生方から技術の四分類が返って来ることを期待しています。A=既に実用化している技術。B=現在は実現していないが近い将来可能である。その期間は1年以内と致します。C=当分の間は実現は困難と思われる技術です。もし実現するとしても数年を要するかも知れない。D=数年以後にも実現は困難であり謂わば不可能に近いと考えられる技術。この四つの予測分類をして頂きたいと希望しています。この四つの分類は決して固定されるものではありません。昨日までCであった技術は明日にはAとなって実現する可能性があります。Dと謂えども不可能と決め付けることは出来ません。。DTM開発の最前線に居られる先生方のご判定をお願い致します。順不同ですが単元と機能についてご提案申し上げます。
(1) 音律の設定
古今東西の音律を再現出来ることを目指して、且つ全く新しい音律を開拓する目的を持っています。平均律からの偏移値が上下に50セントで少なくとも1セント単位で設定出来れば当面の実用に供することが出来ます。この機能は既に開発されて殆どのDTM楽器には装備済みと考えられます。ここで
音律とは基本的には12個の音の周波数を決めることであります。音階とはその内の5個または7個を選んで作ります。12音音律と五声音階および七声音階は既に周の時代に完成していました。
(2) 音律の登録数
現行のDTMでは僅か数個のユーザー音律設定が出来る様に設計されていますが、音律登録数を少なくとも12個は欲しいところです。理想的には64個あれば雅楽のルーツである周の楽制を再現する実験を可能にします。研究用には64個ですが、実用上は12個で十分です。常用音律は日本では通常は6個であります。
(3) 音律の切り替え専用ダイヤル
作曲と演奏の途中で音階は勿論のこと音律も頻繁に変える機能を希望しています。平均律での転調は簡単にできますが、非平均律では転調は出来ませんので音律を替える
変調が必要になります。伝統楽器では演奏中の変調は無理ですが次世代DTMでは簡単に何時でも変調できる設計が必要です。通常では6個の音律を常用するので、音律変換のためのワンタッチ・ダイヤルをパネルに出して欲しいと存じます。
(4) 周波数を測定する高性能チューナー
半音の十分の一の10セントを人間の聴覚で分別するのは通常では困難でありますので、音の周波数を正確に計測する必要に迫られます。精度を上げることは出来ると思いますが、音色毎の測定は現在では困難ではないかと予想しています。単独の音を測定するのは容易ですが、複数の音が同時に鳴っている音楽演奏中の計測は困難を極めます。そこで予め設定した音律を使用して演奏している場合では、発声した音の周波数を表示することは可能と思います。その設定周波数と実際の計測値との誤差が生じる可能性もあります。また、複数の音の合成からなる和声の場合は共鳴などにより周波数の測定に何らかの影響があるものと予測致します。選択した
特定の音色について1セント単位で計測できれば実用に供することが出来ます。人間の聴覚の限界を超える精度の音楽を作曲・演奏する為には基本条件となる機能であります。高性能チューナーは自然界の音楽を計測するのにも応用できます。
(5) 和声グラフ
非平均律では音律を替える毎に和声の構造が根本的に変化して行きます。発声した複数の音からなる和声をオッシロスコープの様な画面に経時的に表示できれば聴覚による和声の美しさを計器で確かめることができます。非平均律では平均律系の所謂和声学が全く通用しないからであります。音律が異なれば和声は音律毎に全て変化致します。単独の音色での表示は可能としても、複数の音色が同時に発声している場合は表示が困難ではないかと予測致します。最後は聴覚が勝負ではありますが、和声をモニターする計器が欲しいところです。声紋分析器の様な形式も一例ではないかと考えています。
(6) ポルタメント回路の付加
東洋の音楽では多くの楽器はポルタメントで演奏されます。西欧起源の五線紙には書けない音種であります。例えば笙の音はとても複雑でありポルタメントが通常の演奏法であります。この複合的な
可変重和声をDTMで再現するにはどうすれば良いでしょうか。ポルタメントする周波数範囲も変化させねばなりません。上行する時も下行する時も有り得ます。笙のほかにもポルタメントする楽器は沢山あります。それらが一斉に演奏される訳ですから将にカオスの世界であります。混沌の宇宙空間の様でありますね。DTMでは少し控え目なポルタメントで演奏できたらと希望しています。
(7) 音域の設定
音域は現在のピアノの88鍵に相当する範囲で実用上は十分であります。超重低音は低周波振動を引き起こし、超音波の音域では聴覚では感じることが出来ません。可聴域を上下に超える世界の音楽は別次元なので今回のテーマではありません。伝統楽器にはそれぞれに特有の音域がありますが、DTMでは全ての楽器について音域を拡大することが出来ます。このこともDTMでしか出来ない音楽の世界であります。
平成17年11月7日にNHK総合TVで放映された「地球・ふしぎ大自然」で、スリランカのアジア象が人間の可聴域の最小周波数の20ヘルツ以下の低周波で通信している事実を世界で始めて解明していました。一番低い周波数で5ヘルツまで発声しているとオッシロスコープで表示していました。
5〜20ヘルツの低周波は遠くまで届き数キロまで通信出来ると言います。象のあの巨体からのみ発声可能な低周波であります。そして、2004年12月26日の大津波では、アジア象は一時間も前に津波の低周波を感じて山に避難して一頭の犠牲も出なかったと報告されました。これは私達にとっても大きな衝撃であり、音楽の世界でも次々世代のDTMでは人間の聴覚では聞こえない低周波を使って超重低音を音楽に取り入れることが出来るかどうかを実験して見たいと新たな夢を持ちました。蝙蝠やイルカは可聴域の20000ヘルツを超える超音波で通信をしていることも知られています。こちらも超音波の音楽は有り得るかどうかの実験も面白いと考えます。人間の耳では聴こえない音域もDTMでは発声は可能でしょうか。超可聴域の音楽とは何か? 人間の耳に聴こえない音楽は存在するのかという人類の未来のテーマが見えて来ましたね!
(8) 音質と音量
DTMからの出力は通常はオーディオシステムで再現しますので、内臓アンプやスピーカーは音質および音量にも問題があるので特に必要ありません。音質は限りなく伝統楽器の原音に近づいて欲しいと希望しています。音量はシステム次第ですから、鍵盤などでの入力のタッチの強弱で何段階かの音量変化は必要です。
(9) 残響などの各種効果
既に現行のDTM楽器に付加されている残響効果や各種の効果音は実用性があります。小さいホールや大きいホールでの演奏を想定して効果を選択する必要があります。更に芸術的な残響効果などにも期待しています。
(10) テンポの設定
芸術としての音楽では三大要素の内で最も重要な要素はテンポであります。全ての
音楽はテンポで決まると言っても過言ではありません。しかし、現行のDTM楽器では機械的な一定のテンポしか再生出来ません。1/fを単位とする「揺らぎの理論」で自然界のテンポをDTMで再生出来ることを期待しています。扇風機の風と自然の風とどちらが心地良いかは議論の余地はありません。モーツァルトの音楽が癒し効果が高いのもテンポがよく変化するからであると言われています。自然に近いテンポを幾つかのパターンで再現して選択できると嬉しいのです。また、実際に自然のテンポを何らかの指標で入力してテンポを取り入れるインターフェイスなどの開発も必要になります。自然界のテンポには一定不変のものは有り得ません。時々刻々変化を遂げて極まりないのが自然界のテンポであります。所謂乱数表的な合成では目的を達することは出来ないと考えます。
リズムとテンポは同じではありません。リズムは強弱の配分を物理的に組み合わせた形式でありますが、テンポは実際の演奏の速さの変化を規定するものであります。速さの変化は物理学では
加速度と呼ばれている概念であります。音楽では見かけ上の速度は変わらない時でも心理的なテンポは自由に変化をしているのです。その微分的時間のオーダーは恐らくは0.01秒の単元であると予測されます。
(11) 音色数
収録する楽器の種類は多いに越したことはありません。今回は東洋音楽で使われている楽器を多く収録して頂きたいと念願しています。既に中国製のDTM楽器では伝統楽器を100種以上収録したとの記事を読みました。西欧の楽器とは異なり東洋の楽器は多彩でかつデリケートであります。音も単純ではなく複合的な周波数の合成から成り立っていると考えられます。温度によっても容易に周波数が変わります。その様な不安定な音色を収録することは可能でしょうか。東洋楽器の収録はDTMにとっては新しい課題であると思います。世界中の音楽を演奏する為には世界の主要楽器はすべて収録したいと念願しています。
(12) 鍵盤とオプション入力装置
デジタルピアノに代表されるDTM楽器では88鍵のキーボードになっているのが一般的であります。ピアノモードなら問題はありませんが、例えばヴァイオリンモードであれば鍵盤を操作してヴァイオリンの曲を演奏するには多くの困難があります。箏のモードで演奏する場合には箏独特のあの連続的な撥音を鍵盤で表現することは如何にも困難であります。その為に複数の弦を張った入力装置とかをオプションで付加できれば箏の曲の入力に有効であります。打楽器の入力もやはり鍵盤よりは打楽器に近い入力装置を必要としています。鍵盤は通常一列ですが、パイプオルガンの様に何段もあれば多彩な演奏が出来ます。少なくとも二段になっていれば二つの楽器による重奏が出来ます。その横に打楽器入力装置を置けば、演奏の実態に近づけます。最も重要な弦楽器の入力装置も開発する必要があります。ビブラートやポルタメントなど弦楽器特有の表現をDTMで再現するにはどうしたら良いでしょうか。今後の研究開発に期待が係ります。
(13) 電子楽譜
現行のDTMで採用されている五線紙方式の楽譜は平均律の音楽では有効ですが、非平均律で構成されている東洋音楽には殆ど役に立ちません。五線紙方式は西欧で発達した楽譜方式ですがまだ400年位の歴史しかありません。数千年の歴史を誇る東洋の音楽では楽譜は多種多様に発展して来ました。しかし何れも時代と地域を超える互換性がなく、楽器によっても異なります。次世代DTMの時代に相応しい電子楽譜を考案する必要があると認識しています。平均律MIDI方式を世界中に押し付けるのは間違ったグローバリゼーションですね。世界の音楽の歴史では、平均律系の音楽はまだ普及してまだ200年位ですね。ピアノの普及とドビッシーによって広められました。古今東西の全ての音楽を正確に記録して再現する電子楽譜こそ21世紀の世界の音楽にとって必要な新しい標準となるべきものであります。複雑であれば最早紙に印刷する必要もありません。世界各地の音律と音階を記録して再現することが出来る
世界標準の電子楽譜を日本の主導で作りたいと念願しています。MIDIを完成させた実績のある日本の電子音楽界の力量を以ってすれば十分に可能であると確信しています。現行のDTMは全て平均律MIDI仕様になっているので、せっかく非平均律で作曲しても転送すれば自動的に平均律MIDIに変換されてしまいます。これでは古今東西の世界の民族音楽を扱うことも出来ませんし、新しい時代の非平均律音楽の実験が出来ません。古今東西のどのような音楽でも記録・再現できる世界標準の電子楽譜を作りたいのです。先生方のご助言や提案をお願い致します。実際にはどのような音律でも記録出来ること、あらゆる音律による任意の音階を用いる和声も記録できることが求められます。また、どのようなリズムとテンポも記録と再現できる機能が必要です。作曲し演奏することも自由自在に出来なければなりません。この項目は別途に研究致したいと存じます。
(14) 記憶装置
次世代DTM楽器で作曲・演奏する音楽をそのまま記録する装置は当然必要になります。音そのものを記録するには膨大な容量を消費しますので、MIDIの様なシークエンサー・ソフトが有効ではないでしょうか。現行のDTM楽器でも本体の内部では非平均律の音楽をシークエンサー・ソフトで記録出来ます。恐らくはMIDIそのもので記録していると予想しています。再現する時に設定した音律を選択すれば非平均律の演奏が可能になっているものと解釈しています。しかし、外部に転送すれば全て平均律MIDIに自動的に変換されてしまうのです。その為に世界の全ての地域の民族音楽と新世紀の音楽を扱うには前項の互換性のある世界標準の電子楽譜が不可欠になりますね。その電子楽譜を普及させればインターネットで配信できる様になります。現行のDTMで受信したMIDI信号を再現する時に演奏するDTM楽器側で使用する音律を選択すれば間接的には非平均律音楽の再現は可能であると予想致します。現在のMIDI技術では平均律以外の選択は出来ないのかを先生方にお尋ね申し上げます。非平均律MIDIが開発されれば
夢のDTMへ大きく前進することになります。シークエンサー・ソフトなら容量は必要ありませんが、WAVなどの形式では膨大な容量が必要です。保存形式も新しく研究・開発する必要性があると考えられます。再現に当たっては音質の向上も考慮して行きたいと存じます。DTMで作曲した音そのものを直接記録すればよいのですが、その様な大容量なメモリーを次世代DTMに搭載できるでしょうか。(続)

聴こえない音も見えるよからくりの、いにしえの音未来の音も!

To see unsensible sounds by machine from ancient and future time !

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       15 Nov 2005

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