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音階の変遷 Happy New Year ! |
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村山先生、新年明けましておめでとうございます。新しい年を迎えられての今年のご抱負は如何でしょうか?こちらでも心気一転、音楽を聴き始めた頃の原点に立ち返って、これから前人未踏の探検を開始するに当たって心境の一端を申し上げて年頭のご挨拶と致します。 年末のクリスマスに間に合ってお届けした、今回の実験作品である自由組曲「京愁」へのご丁重なるご批評を頂き誠に有難う御座います。実験しました新音階はやはり、「複合音階」と呼ぶ方が相応しいと思いますので、先生のご提案どおりに混合音階から複合音階 Combined Scaleへと改称致しました。Combinationという言葉は元来は二つの者を連結するという意味がありますが、非平均律五音音階と純正律系七音音階の合成であれば、MixedよりCombinedの方が本質を捉えています。日本語名はやはり、複合音階と致しました。ノルディック複合という種目がスキーにありますが、この英語はCombinedという言葉を使用しております。さて今回比較致しましたU1とU3の実験音階に関しまして、U3の方がよりなめらかで聴き易いとのご感想を頂きありがとうございます。U1が平均律からの偏移値が平均で13セントであるのに対して、U3では平均50セントの偏移値で構成されていますので、U1と比較すれば、はっきりとした印象を与え得ると予想していました。U1とU3の偏移値の差が37セントであることがはっきりと結果を出しています。U1では、平均律からの偏移値は白鍵部分が平均14セントであるのに対して、黒鍵部分は平均13セントでありますから、五音音階と七音音階のコントラストが恐らくはU3に遥かに及ばないからではないかと推論しています。そのためにU1よりU3に大きな評価を頂いたものと感謝申し上げます。U2は25セントの偏移値ですから平均律からの対比が見えにくいと思います。U4はU3とは正反対の並び方の五音音階ですから、今回は使用しませんでした。実際にU4を使って今回の実験作品を再現してみましたが、旋律の展開も和声の綺麗さでも遥かにU3に及びませんでした。U3の五音配列とU4の五音配列には、相容れない何かがありそうです。更に新しい音階を研究する上での貴重な参考資料が得られました。 先生の聴覚が並外れて鋭敏であるが故に起きる「船酔い」感は、少なくとも13〜50セントの偏移値の範囲では十分に起こり得ることを証明して頂きました。微妙な音程差で生じる縦揺れは、U1とU3を交互に続けて再現すると船酔いが起こり易く、全曲をU1とU3に分けて再現すると船酔い感が緩和される事実も確認して頂き有難うございます。テンポの可変による横揺れが縦揺れと同時に起きると、船酔いは増強されると予想致します。また、ご指摘の通りに新音階による経験したことのない和声が合成されますから、その事への違和感も船酔いを助長するのではと考えます。聴き慣れない和声は実験作品では、長く続いて発生している時もありますし、本の一瞬の間に発生しては消える和声もあります。原子核物理学で、新元素の創造に携わっておられる科学者のお話では、何万分の一秒というような短い時間だけ存在するとのことであります。新音階による和声には、そのような要素も含んでいると考えられます。非減衰楽器による和声のうなりも確認されました。縦横の微妙な変化と和声の発生が、聴く者の意識する聴覚領域と同時に意識下の深く未知の領域にも働きかけているのではないでしょうか。非平均律五音音階では音源の選択を考えなければならないとのご指摘も有難う御座います。周波数の計測と音感にはずれがあることも分かりました。研究室には24時間作動しているチューナーを設置していますが、計測している値と聴覚による限界値は、音源の種類や音程によっても異なる様でありますから、理論的に設計しただけでは音楽にはならない事も分かりました。音源についても西洋楽器だけでなく、日本や中国の楽器も採用したいと思います。DTMでは、伝統楽器では絶対にできない演奏法も簡単に出来ますね。音域の拡大はどんな楽器でもオクターブを全域に拡大出来ます。伝統楽器では有り得ない和声の組み合わせも、DTMではどんな組み合わせも出来ます。DTMは21世紀以降の音楽に新しい地平線を開拓しています。更に実験を繰り返して聴き続けることによって、新音階の研究を進めます。 バロック音階と現代の音階では、約半音の音程差が生じていることもよく分かりました。音階は時代と共に変遷するという事実を重く受け止めたいと考えます。10代にして既に微妙な音程差によって起きる船酔い感を経験されておられた事はご同慶の至りであります。同じ10代の私の少年時代を思い出しても、音楽を聴く環境には居なかったとは云え、やはり百日の長を先生には感じます。凡人の耳しか持っていない私には千回連続で聴くしか、音を極める方法がありません。これからも相当に長生きしないと何らかの達成をすることは叶いません。村山先生との邂逅とDTMへの開眼によって将に奇跡が起ころうとしています。新年に当たり、シルクロードの東端の京都から今やっと、タクラマカン砂漠の入り口に到達出来ましたが、これから先の探検への心境を二つの和歌に詠みました。 「新しきみちを求める絹の道、行けども見えぬ夢も幻!」 前歌は砂漠を人と駱駝がどこまで進んでも、何も見えて来ないかも知れないという心情を歌っています。「みち」は道と未知を掛けています。何を求めての探検かと言えば、東西の音楽の出会う地点を目指しているのでしょう。東西の音楽の融合は有り得るかという実験の旅路でもあります。私達はバッハとモーツァルトと雅楽にも出会いました。これから出会う音楽はどんな音楽でしょうか。 「辿りつきひのまる立てし嵐やむ、近き宇宙より星の流るる!」 後歌は早かれ遅かれ進める処まで進んで遂に生命果てるとき、日本人ですから小さい日の丸の旗を立てて砂漠に横たわると、砂嵐の止む間に昼でも見える宇宙から星が流れるのが見えるという情景であります。その流れ星は先生もご覧になるという設定で、この後は先生にバトンを託するという初夢であります。 音楽に於いても、究極の形は最もシンプルなものであろうと信じます。作曲と演奏では、誰しもそのことを忘れて華美や技巧に走り勝ちですが、いわゆる超絶技巧などは必要なく、採用するとしても一箇所だけにさり気なく挿入するのが善いと思います。技巧の連続では、音楽は複雑になり形式化して本質を見失うのではないでしょうか。 新しい年が始まりましたが、常用しているイオン水の効果とシルバーチェックによる漢方作用のお蔭で、健康増進にも自信が持てる様になった事は有り難く感謝申し上げています。何とか頑張って最長不倒距離を行くためには、速度を幾らか落としても、安全第一で亀さんの様に止まらずに歩み続けたいと思います。2023年2月8日には、京都オペラの上演を何らかの形で世界に発信したいとの夢を持ち続けています。それは私が80歳の時になります。その夢が実現する様に、日々精進を重ねて主の御心に委ねる他はありません。新しい年が先生方に於かれても、どうか良いお年になります様に、ご健康とご成功を祈念申し上げます。 |
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1 Jan 2005 |
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