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複合音階               Combined Scale

村山先生、お早う御座います。早くも師走の足音が聞こえて来る様になりました。今年もあと一月で終わろうとしていますが、振り返ると我が歩みの遅さには呆れるばかりであります。しかし、今年は邂逅以来五年ぶりに初めて御意を得ることが出来ましたので、最も大きい収穫で御座いました。少しでも亀の歩みを速めんと、土日には研究と制作に専念致しておりますが、現在までに到達出来た地点は以下の通りであります。
非平均律五音音階の研究を始めて気付いたことは、五音音階ではやはり和声は不十分であるということであります。そこで、黒鍵五音音階と白鍵七音音階の合成をすればどうなるか?との実験をして制作したのが、今回の実験作品NET-5041114であります。新たに開発したU1実験音階は、黒鍵は非平均律五音音階で平均律よりの偏移幅は平均で13セントであります。白鍵の方は和声を重視して純正律系の音階(W1)を採用致しました。純正律は平均律より平均で14セントの偏移でありますから、黒鍵五音音階(U1の場合)とのバランスは取れていると考えられます。こうして、U1実験音階は
黒鍵五音音階と白鍵七音音階が合成された複合音階となりました。白鍵七音音階で純正律と異なる点はF音だけであります。純正律ではレファラの和声が良くないのですが、そのF音は、黒鍵五音音階の下行調において過渡的に使用する唯一の白鍵上の音であります。U1〜U4実験音階においては、F音の設定は全て異なっていますから、白鍵七音音階においてはF音を含む和声だけは犠牲にすることに致しました。従って純正律の欠点はそのまま残した形になっています。また、黒鍵五音音階では各音の設定は当然の事ながら純正律とは全く異なる設計であります。U1実験音階の13セント偏移(13系)に続いて、U2実験音階では25セントの偏移(25系)、U3とU4では50セントの偏移(50系)で配列されています。25系以上の音階においても合成する白鍵七音音階の偏移幅を変えようとしましたが、却って和声を損なうので白鍵七音音階は基本的には純正律系で統一を致しました。これらの複合音階では平均律でいう転調は不可能であることは変りません。それ故に、これらの新しい音階による実験ではU1〜U4(非平均律五音音階)W1(純正律系白鍵七音音階)の五つの音階間で変調(音階を替える)することになります。ある決まった順番に替える時は転回変調と呼ぶことにしていますが、転回しない時は自由に変調出来ます。今回の実験作品NET-5041114では、U1実験音階とU3実験音階の対比を特に強調した制作を試みました。
今回の実験作品では新しい結果が幾つか出て参りました。U1とU3の対比ではU1がやや短調的であるのに対して、U3は長調的であること。DTMでは同じ作品を異なる音階で再現することは容易でありますから、曲全体の変調は簡単であります。曲の途中での変調もDTMでは可能であります。必要であれば登録している音階間の変調は何時でも可能であります。この事は既に実験作品NET-5040702で実証されています。今回の作品では、U1からW1への変調はF音を経由していますが、必ずしも成功していないこと。W1からU1への変調は必ずしもF音を経由していませんが、毎回は成功していません。右手でU1を、左手でW1を演奏する機会が多いことは確かでありますが、そう決めている訳ではありません。その逆もあればどちらかに偏ることもあり全く自由であります。和声はやはり純正律には叶いませんね。黒鍵五音音階だけでは十分で無かった和声効果は、白鍵七音音階の併用により格段に向上しました。打楽器による作曲を初めて実験しましたが、DTMでは打楽器部門が発達していることに気付きました。今回使用したラテン系のキットでは何と88種類もの打楽器がステレオで収録されていました。印度のケーララ地方やインドネシアの打楽器による音楽には遠く及びませんが、DTMでもかなりの水準のパーカッション音楽の制作が可能なことが証明されて喜んでいます。打楽器が古来より高度に発達している東洋では、打楽器の採用は不可欠であるとの実感を強くしています。また、今回初めて、四重奏(Quartet)のささやかな実験をしましたが、それもDTMで十分可能なことが実証されました。私が使用しているKBD(キーボード)では、同時に5トラックの録音が可能になっています。理論的には5重奏まで録音は可能であります。音源(Source)については、従来のピアノ、ヴァイオリン、オルガンの他に、フルート、トランペット、琴、太鼓などを実験しましたが、前三者ほどには音質は善くありませんが、使えないことはないとの印象であります。琴では黒鍵のみで演奏していますが、白鍵に比べて黒鍵は素早い動きが出来るので、琴の本来の表現に少し近づくことが出来たと思います。他にも100種類以上の音源を試みてはいますが、現時点では未だ音質は善くありません。近い将来には音源の音質が更に向上する事を切望しています。
楽譜の作成については、作品を録音するとKBDにはMIDIではないシークエンサー・ファイルに記録されます。それを再生してMIDIチャンネルを通じてコンピューターの作曲ソフト(例えばCake walk HS9)に入力すると楽譜が自動的に作成されます。生の演奏記録は演奏したそのままの全ての音が記録されているので、出版する為の楽譜にはなりませんので、必要な音符だけ残して時間を掛けて整理整頓して行けば、パート別の楽譜は完成させる事は難しくはありません。作曲ソフトは全てMIDIで統一されていて平均律で構成されているので、KBDで非平均律音階を記録してもMIDIでの出力は自動的に平均律に戻ってしまいます。MIDIの構造上では止むを得ない事で、それ故にインターネットで通信が出来る訳でもあります。楽譜の作成にMIDIシステムが活用出来る事は有難いことであると言えます。
さて、今回の実験作品をお聴きになってのご感想は如何でしょうか? ピアノ一台と歌手三人で上演出来るシンプル・オペラを目指して来ましたが、21世紀の現代では、
キーボード一台と歌手三人で上演出来るオペラを目指すことが出来ます。現に京都では、「京都オペラ座」という団体が、ピアノ一台と歌手3〜4人で何処へでも、モーツァルトのオペラを出張公演するとの意気込みで、2001年から京都、大阪、東京などで既に行脚を開始して注目されています。「オペラって面白おすなぁ!って、京都で言われてみなはれ。これはもう日本中で、オペラって気に入ったよお!って言われたのも同然。」とそのコンセプトで謳っておられます。もう既にその時代が来ていることを実感する今日この頃であります。

学び屋にオペラ聴こゆる日も近し、能や歌舞伎を生みし都に!

The day coming near when we listen to opera in Kyoto where Nou and Kabuki borne !

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      28 Nov 2004

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