タイトル | : Re^5: 胃の中のものが、喉元に戻っただけでも、断食は無効になるのですか? |
投稿日 | : 2011/08/15(Mon) 13:41 |
投稿者 | : ムスリム |
> ありがとうございました。
> 僕は、てっきり、喉元に達しただけで、断食が無効になるといっているのだと思いましたが、そうではなかったのですね。
> 汚い話で、すみませんが、ちなみに、断食中に、くしゃみをして、口の中に戻った痰を飲み込んだら、断食は無効になるのでしょうか?
味や色などを含まない普通の唾液、つばを飲み込むことは断食を無効にしません。
一方、痰を飲み込むことについては以下のようになっています。
1)その痰が喉元に留まっていて、口に達していない状態で飲み込むことは断食を無効にしません。
2)痰が喉元を通り越して、口の中に達した場合にはイスラム法学者のイマームの間で多少異なった意見があります。
−イマームシャフィイ
痰が口の中に達し、これを再び飲み込む行為は、体内に異物を注入する行為と同等になるため、断食は無効になる。ここでイマームシャフィイは痰を飲み込む行為は、食べ物や飲み物を口にする行為と同じであるという見方を取っています。
ーイマームハナフィ
痰は体内より生み出されたものであるため、痰を飲み込む行為は断食を無効にしない。ここで、イマームハナフィは痰を食べ物や飲み物とは異なったものと見て、痰を飲み込み行為と食べ物や飲み物を口にすることは異なるという見方を取っています。
3)痰が口から出た場合(例えば唇に付着してしまった場合など)は、これを再び口の中に含み、飲み込む行為は断食を無効にする。
イマーム同士の意見の食い違いは、お互いがそれぞれ強い根拠を持って述べていることから、一概にこちら正しく、こちらが間違っているという見方はできません。ですので、例えば日本国内でシャフィイ派に従っているマレーシア人や一部のエジプトの人にお会いして、「痰を飲み込む行為は断食を無効にする」と言われても、あるいはハナフィ派が多いパキスタン人やバングラデシュ人にお会いして「痰は断食を無効にしない」と言われても、焦らず驚かないでください。
ただ、シャフィイ派にしても、例えば病気によって一日に数えきれないぐらい痰ができ口から出すのが困難な者や、あるいは仕事柄(例えば先生など人前で抗議する仕事)なかなか簡単に痰を口から出せない状態にある者は、自身の制御範囲外であることから飲み込むことは許されます。
また、シェイフ・イブヌ・ウサイミンは下記のような見方を取っています。
「しかし痰は飲み込んでも断食を無効にはしない。痰は口から出たものではなく、また食べ物や飲み物でもない。もし口に達した時に飲み込んでも、それは断食を無効にはしない」 (al-Sharh al-Mumthi' ala Zaadil Mustaqni', 6/248)。
イスラム法学者であるエビラヒム・デサイも「痰を飲み込み行為は断食を無効にしない」という見方を取っています。
http://www.islam.tc/cgi-bin/askimam/ask.pl?q=2203&act=view
そして、クルアーンでも:
「アッラーは誰にも、その能力以上のものを負わせられない。」(第2章雌牛章:286節より)
これらから、日本国内にいる者は、痰を飲み込んでも良いという見方を取った方がいいのかもしれません。