この にそえて ・・・ no.272                         


          

 大野山のコガノキ・・・  銀杏の独立樹がある大生院から渦井川に沿って名所銚子の滝方面へ川沿いの舗装路をさかのぼる。

   途中にある馬椿が枯れた際に訪れた時は相次ぐ台風の被害によって道が崩落し寸断されていたが改修によって今は繋がっていた。

   銚子の滝に向かう道との分かれ道は「コガノキ」への看板が施されており、山手に暫く登ると入り口の案内がある。ここより徒歩800m。

   急な坂道を登っていくと途中低く詰まれた石垣があり、もとはここに民家があったのだろうか。その石垣から50m程進んだところに

   突然ぽっかりと開けた空間が現れ、その空間の奥に忽然と巨大なカゴノキが立っていた。推定樹齢の500年は全く頷ける老大樹。

   これまで数々、カゴノキの立派な巨樹を見てきたがこれは別格と言うしかない。目通りは5.8mだそうだがその直ぐ上がコブ状に肥

   大しており更に大きく見える。中心部はややウロを呈しているようだが大枝の多数は健康で幹もこの大きさにしては損傷も少なく美

   しい鹿子の文様をとどめている。なによりもこの迫力。存在感。こんなものがあったとは本当に驚いた。かつて訪れて既に消滅して

   いた松山市素鵞神社のカゴノキとは、きっとこんなものだったのだろう。幹の大きさでは旧長浜町の豊重のカゴノキに及ばないだろ

   うが、奇跡的に残ったといえるこの樹様はカゴノキの横綱ともいえる風格だ。この空間にはかつて薬師堂があったそうで今も崩れて

   朽ち果てた屋根が残っていた。露払いのように銀杏とヤマザクラらしい樹が前方に並んで立っている姿も更に風格を助長している。

   この辺りも「コガノキ」という名称で呼ばれている。案内では、かつてこの近くに住んでいた人を皆コガ兄と読んでいたそうだ。


   大野山のコガノキ ・・・目通り周囲5.8m/樹高13m/愛媛県、新居浜市 、大生院、大野山