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坊ちゃん列車の客車
この箱車は、いまから80年ほど前 伊豫鉄道株式会社が創業当初の明治21年10月28日に、松山-三津間(料金3銭5厘)に開通した我国最初の軽便鉄道の客車であります。
夏目漱石先生の小説、坊っちゃんでは「マッチ箱のような汽車だ」といわれ、以来、坊っちゃん列車の愛称で全国に知られています(この列車の機関車は梅津寺遊園地に展示してある)何しろ米が一升4銭5厘という時代に、独逸から組み立てたまま木箱に詰めて機関車と共に運ばれてきたものですが、あれから50年間、雨の日も風の日も走り続け、ある時は強い風に吹き倒されたり、又ある時には牛に衝突して脱線した。
枯野原汽車に化けたる狸あり 漱石
等々、いま考えると嘘のようなほんとうの逸話がたくさんあります。
文化はレールと共に伸びるといわれるが、子規も漱石もこの客車で道後温泉へ通ったものと思うと、気が遠くなるような郷愁と時代の流れを感じさせられるのであります。
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