現代京都語でオペラを書く

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Ky-178

New opera in modern Kyotienna

現代京都語を主要言語として用い、古代の京都語(日本語)も併用する。歌は言語で決まるので、何語を用いるかは決定的である。英語および中国語も必要に応じて翻訳または併記する。これは国際性を高めるためである。現代京都語に合致した音楽を付けることを目標として作曲の設計を示す。作曲の作業自体は後進に機会を譲りたい。これが着想以来45年にもなる「京都オペラ」の基本構想である。「新しいオペラには新しい言語が必要である」ことにやっと気づいたのである。
歌物語は京都あるいは京都に縁のある所を場とする。登場人物は三人を基本として最小人数に止める。幕はニ幕とし場は十場を越えない。上演時間は150分を越えてはならない。楽団は能と同じく同一の舞台上の背面または側面に配置する。オケピットは作らない。歌舞伎の花道は採用することがある。コーラスも少人数として舞台背面か通行人や群集として登場してもらう。オーケストラは室内楽の規模を越えない。指揮者は置かない。コンサートマスターかまたは脇役の歌手が兼ねる。
物語は単純明快を旨として三部形式を取る。起承転結のはっきりしたものに限る。テンポは序破急の三速としてアジアの伝統を継承する。通奏低音と通奏高音はこれを採用して、楽譜には記載せず記号や数字で指示をして演奏の即興性を高める。歌の構成は、独唱、重唱、合唱、伴奏、間奏曲や序曲などとして室内楽の規模を越えない。少人数の構成で機動性、経済性と即興性を重視する。
歌物語の原点より再出発して音楽劇の新しい再生と創造を開拓する。歴史的には京都がこれまでに産んだ、雅楽、声明、能楽、歌舞伎に続く第五の芸術としての京都オペラを目指している。Opera Kyotienna、京都オペラ、京歌物語または単に歌物語などと呼びたい。英文略称はKYOPである。小生は構想と台本を担当して、作曲は後世の天才に委ねたい。作詞と作曲は別人であるべきであると考える。
現代京都語(京ことば)の採用により、45年に及ぶ長年の構想に初めて前進の希望が見られる。中井和子先生の「現代京都語訳・源氏物語」の偉業は特筆すべき事であり、その影響は極めて大きい。現代京都語は千年前の京都の言葉を脈々と受け継いで来た伝統の上に成り立っている。他のどの言葉より源氏物語の時代の日本語に近いのである。沖縄や東北にも平安時代の京都の言葉が残っている。明治政府が人工的に作った「標準語」は公用語ではあっても生活の言葉ではない。現代でも標準語で生活している人はこの国に一人もいない。歌は生活の心情を表現するものであるから生活の言葉で書くのが基本である。生活の言葉で歌を書くという当然の結論に達するのに何故に45年も掛かったのかと思うと悔しい。余りに遅すぎる再出発ではあるが人生の晩年に間に合って良かったと考える。後は多少の幸運を祈るだけである。

千年の歌物語よみがえる京のみやこの新しき歌!

New song story will be borne in Kyotienna having 1200 year tradition !

English

15 Oct 2009

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J.S.Bach: "Cello Suites" Nr.1-3 by P.Casals 1936-1939

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NEW OPERA FROM KYOTO

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