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Concert of elephant and bat |
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象と蝙蝠のコンサートと言われても何のことか分からないと思います。この二つの哺乳類には共通の超能力があるのです。それは人間の可聴域を超える音波を聴き分ける能力を持っています。象は20Hz以下の超低周波を使って交信することが出来ることが最近の野外研究で解明されました。また、蝙蝠が20000Hz以上の超音波を使って交信したりその反射波で暗闇でも飛ぶことが出来ることは古くから知られています。この二種類の哺乳類の驚異的な可聴域外で音楽を作曲・演奏するとどんな音楽になるでしょうか? それは今日のテーマでありますが、次世代の音楽として考察してみたいと思います。 NHKが最近放映した自然番組によると、Sound Cameraなる新装置を開発してアフリカ大陸の野生の象の生態を研究した結果、人間の耳には聞こえない5〜20Hzの超低周波を使って交信していることが世界で初めて解明されました。先般のインドネシア津波でも、象には一匹の犠牲もなかったと報告されています。大人の象が鼻を伸ばすと頭の先から鼻の先までは5メートルにもなります。その長さに音波を乗せると超低周波が発生します。また象の大きい耳朶も集音に役立っています。その研究によれば、超低周波で交信中の象は、絶えず耳朶を動かしていることも報告されていました。子供の象はまだ小さいので超低周波交信は出来ないとのことでありますから、迷子になると大変ですね。そして通信距離は数百メートル以上にも及ぶとのことであります。津波の時は人間の耳には聞こえない超低周波を、津波の来る1時間も前に感知して一斉に高台へと避難する習性があると報告されました。自然界の動物が持つ超能力には唯々圧倒される他はありません。 さて象と蝙蝠たちにステージに登場してもらい演奏会を開いてみましょう。象が20Hz以下の超低周波で音を出します。続いて蝙蝠も20000Hz以上の音波を出してみるとどうなるでしょうか? 象には超音波は聞こえないでしょうか。また蝙蝠にも超低周波は聞こえないと考えられます。そして、コンサート会場にいる聴衆もどちらの音も聞こえないとすると、一見無音のコンサートになりますね!何の音も聞こえないコンサートにお金を払って聞きに来る人もいないとは思いますが、もし企画してみれば面白いとは思いませんか。世の中平和であれば、世界のニュースになることは請け合いであります。象と蝙蝠に複数ずつ出演してもらえば、同種同志では交信は成立しているので、人間には聞こえないけれども、可聴域外のコンサートは成立しているのではないでしょうか。先程のSound Cameraを設置しておけば聴衆は象の音楽を視覚的にその存在を知ることは出来ます。超音波受信機も同時に設置すれば、蝙蝠の音楽も視覚的に感知することも出来ますね。でもその結果、象と蝙蝠が交信出来るかどうかは保証の限りではありません。これまでにも所謂「音のないコンサート」というのはあったと聞いていますが、それは人間の可聴域の音を出さないという演奏会のことであります。「象と蝙蝠のコンサート」は人間が彼等の奏でる音を聴く能力がない為に無音に見えるコンサートである訳であります。超音波で交信している動物は他にもあります。鯨やイルカもいますし、超音波を感じるカエルも中国で発見されています。彼等にも登場して貰えば、珍奇な動物園の無音コンサートになりますね!聴衆はスクリーンに映し出された動物たちの表情や動きと、Sound Cameraが示す超低周波の発生源の方向と、超音波による交信状況を視覚的に楽しむことは出来ると考えられます。お盆も過ぎて少しだけ涼しくなりましたが、夏の夜の夢の一つとして考えるだけでも楽しいと思われませんか? |
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28 Aug 2006 |
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