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『Nusa Mahsuri』練習内容・・・強さの秘密
1、ミスボンコーチの考える重要度
 Nusa Mahsuriのコーチであるミスボンの理論が、Nusa Mahsuriの選手たちに与える影響は絶大である。彼の考え方でバドミントンが形成されていくといっても過言ではない。
 そのミスボンのバドミントンを習得する持論は次ぎのとおりである。

第1段階、まずは、コート感覚をみにつけ、如何なるシャトルも相手コートに入れなければならない。
 打点の高低は問題とせず、とにかく反対向いていようが、転んでいようが、相手方のネットに入れる。アクロバティックなショットでも大いに奨励している。
 子供達のするバドミントンは、とにかく楽しく、相手コートに返し、アクロバティックなショットを連発し、そのたびに笑い声がこぼれている。そういう一見ふざけたようなバドミントンをしていても注意されることはない。しかし、この中で柔らかいラケットワークとコート感覚を身に付けることができるようだ。

第2段階、高い打点でショットする。
 より攻撃力をアップするために高さを求める。とくに、シャトルが落ち始める前にショットをすることを理想としている。シャトルのコルク部分が下に向いてしまと、ショット力が極端に落ちるので、シャトルの軌道をしっかりと見て、よりよいショットポイントで捕らえるようにする。
 日本の場合まずは、フットワークを体に覚えこませるが、ミスボンの場合は基本的に自分の捕らえるところまで如何なるフットワークでもよいから短時間に動きシャトルを捕らえることを求められる。

第3段階、より厳しい場所を狙う。
 確実に相手コートに入れれて、さらに、高い打点から打てるようになれば、次は相手がより取り難いコースに打つことが求められる。

第4段階、スピードのある球を打つ。
 クリアー、ドロップ、スマッシュなどあらゆるショットでシャトルスピードを上げていくことが求められる。

第5段階、デセプション(騙すこと)
 最後の段階としてデセプッションがやってくる。相手を欺くショットを打つことである。これが重要なのは誰でもすぐにわかることである。ただし、大きなフェイントモーションを求めるのではなく、ショットの際にコースを変えるということが求めていることのようだ。
2、Nusa Mahsuriの練習
月曜日〜土曜日の練習時間帯。
午前8時〜12時・・・・パターン練習中心
午後3時〜5時・・・・・ゲーム中心
日曜日は休み。

★ロードワーク
1日1時間のロードワークを義務付けている。ただし、1時間はトータル時間であり、朝、昼、晩の3回に分け、それぞれ20分間のロードワークを行なうことを勧めている。日曜日の練習のない日でも、ロードワークは欠かすことはない。

★コートに入るまでの準備
 各自体操、ストレッチなどをしたあと、素振りか、ランニングか、コートが空いてれば基礎打ちなど行い、約15分でウォーミングアップが完了しコートに入る番を待つ。(朝のロードワーク時に既にウォーミングアップはしている。これは体育館での準備である。)

★午前の練習
*各個人の能力にあわせて、パターン練習・ノックを行なう。
パターン例と目安
 1.ドロップ、2.クロスドロップ(時々クロススマッシュ)、3.ヘヤピンの順に打って行く。選手の能力により、上げるシャトルの高さ、テンポなどが違う。コーチがスマッシュといえば、ドロップに換えてスマッシュを打つ。

 ロスリン(世界トップ)30回、ズル(地方トップ)20回、佐藤(日本トップ)17回、高橋(地方トップ)17回で息があがる。息が上がってからの5回が大切で、それぞれプラス5回を加えた数、つまり、それぞれ、35回、25回、23回、23回送球する。これを3名前後の選手が交替で入り、8セットほどおこなう。

 これは単なる一例だが、コート内の2点から4点を選び、そのパターン練習またはノックを行なっている。この練習は、ノッカーの玉送りの熟練度が要求される。選手のレベルに合せて、国際選手級、地方選手級などノックのテンポをはっきりと変えている。
 この練習においては、全力で行なわなければ意味はない。スマッシュも80パーセント以上の力で打っていないと、コーチの機嫌は悪い。また、ミスに対しては容赦なく激怒が飛んでくる。一セットやっているうちに、3回ミスがでれば、コートに入る資格を失うかもしれない。総じて言えば、ミスをしないことと前向きな姿勢を求められる。

 
*ゲームや、2-1を行なう。
 練習時間の大半はパターン練習とノックに費やされるが、練習の終わり間際に、大会が近ければ、それぞれ一ゲームずつゲームを行なう。

*練習の終わりはシャドートレーニング(フットワーク)と腹筋・ダッシュなどの軽いトレーニングを行なって終わる。
シャドウトレーニング(フットワーク)は実戦に近い形で行なわれることが多い。写真はミスボンが6点にシャトルを投げ、それに合せてロスリン=ハーシムが動いている。30個を3セット。
午前の練習の終わりに同僚から話し掛けられながら、腹筋練習を行なうハーフィズ=ハーシムとジャンプを行なうロスリン=ハーシム。


★午後の練習
 午前同様、約15分間でランニング、素振り、基礎打ちのどれかでアップを行ない、ゲームに入る。15点一ゲームまたは21点一ゲームで、対戦相手を次々と変え1時間〜1時間半半ほど、コートから離れない。
 次に、最低30分はコーチのアドバイスに従い、弱点克服のためのパターン練習・ノックを行なう。
 最後にはコートサードでランニングを行い一日の体育館での練習は終わる。
 帰宅後、約20分間のランニングを行い一日の練習スケジュールは終わりである。

★ラマダーン月の断食期間の練習について
 ラマダーンとはイスラム暦9月のことであり、年に一度めぐってくる聖なる月とされている。人々は俗生活に反省をし、自分の生活を見直す期間であり、また、日中は日没まで飲食を絶つというのが、このラマダーン月である。ヌサマハスリのメンバーの大半はイスラム教徒であり、断食を行なっている。
 ミスボンコーチ曰く「ラマダーン月の練習こそ、神の祝福があり価値がある。他国の選手が練習しているときに、断食だからと練習を休めば差をつけられる。逆に、気合居れて行なえば、ラマダーン月だからこそ神のバラカ(めぐみ)は絶大なのだ。」
 ということで、断食期間中も、普段と変らぬ練習を行なうとの意気込みである。水分を取らずに練習することは、熱帯のマレーシアにおいては過酷であり、どうしても普段と同じ練習は無理だろうが、その期間にこそ精神力が養われるようだ。

イスラムに関しては>>>イスラムのホームページ 参照

 今年のラマダーンで、高校卒業後バドミントンをはじめたサーレム選手(バドミントン歴4年)は、急激にレベルアップし、国際選手レベルまで伸びた。現在2003年のジャパンオープンの参加をめざして練習に励んでいる。
★★感想:練習に貫かれる方針、特徴
・Nusa Mahsuriの目指す最も重要なものは、打点から打点までいかに早くで動け、また、スピードが落ちない状態でラリーを長く続けられるかである。
・ミスは許されない。
・コートの入り方が、いつもインターバルになっており、回復力の早さを養う訓練している。
・日本では四点を順番に動くフットワーク練習を十分に行い体に覚えこませるが、マレーシアでは、ランニングとパターン練習のみでフットワークを身につけている。特にフットワーク練習と呼べるのは上述のようなシャドウをたまに行なう程度である。そういえば、ヌサマハスリの選手のフットワークは、いいのか悪いのか、ほとんどランニングステップであり、足とスイングが合わなくてもショットが打てる。
・大きい動作のフェイントモーションが少ない。早く打点にラケットを持って行きコンパクトにデセプションを行なうのが特徴である。
・大会の戦いぶりをみると、スイングがコンパクトで、大袈裟なフェイントが少ないため、一見相手より弱そうでリードされているように見えるが、実際はリードしているというゲームをよく見ることがある。それほど、プレーは地味である。
★シングルスとダブルスの練習内容の違い・・・ラシドシデク
 上述のNusa Mahuriの練習内容は主にシングルスプレイヤーのためのものである。
 器具を使っての筋力トレーニングをするかという質問に、ラシド(シングルスプレイヤー)は、シングルスとダブルスは全く別メニューで練習が必要だと言う。器具を使っての筋力トレーニングはダブルスプレイヤーが行なっているが、シングルスプレイヤーはしない方がよいとのことである。自分自身も筋肉トレーニングを行なったことがあるが、パワーがついても、動きが悪くなりシングルスプレーヤーとしてはマイナスだった。上述のような練習で、シングルスプレーヤーとしてのパワーは十分つけることができる。パワー以上に重要なのは、スタミナと速い動きを長時間維持でき、回復力をつけることである。彼は、上述の練習メニューで世界のトップまで登りつめたのである。
★ミスボンのチョップショットとスイング理論。
スイングは一つではない。どこを支点に(どこから先を使って)打つかで4種類の打ち方がある。
1、肩(かた)、
2、肘(ひじ)、
3、手首、
4、指(手の中)である。

クリアーを例にとれば、主にどの支点を使うか、または、この4つの使い方をどのようにうまく交ぜて使うかによって、様々な球質のクリアーを送り出すことができる。ゲームの中でこういった多彩な球質の球を送り出すことにより、有利なゲーム展開ができるよになる。

ミスボンのチョップショットとは、ドロップショットの一種ではあるが、とくに3(手首)と4(指)を使って打っていくショットである。この打ち方の説明は、文章では表現することができないので、割愛させてもらうが、とにかく一見クリアーを打つフォームに見え、スイングした瞬間、視野からシャトルが消える(クリアーと思うから)。気がつけば、ブレーキの利いたドロップが出てきて、球足が速い割にストンとショートサービスラインの前に落ちてくる。ラリー中打たれると、トップクラスの選手でもノータッチしてしまうほどだ。打ち方は何度も実演してくれたが、私など未だに同じ球質の球を打つことができない。愛媛県内の方であれば、高橋徹選手(松山市役所)にチョップショットの打ち方を指導してもらえばよい。彼は完全なミスボンのチョップショットに到達してないまでも、『ミスボンまがいのチョップショット』を打つことができる。彼はこのショットをラリー中時々交ぜて、県内で勝ち上がってるのかもしれない。

さて、本題にもどすが、どんなショットを打つときも、上の4つの支点とそれをうまく配合させて打ち、自分だけのオリジナルショットを編み出す努力をしなければならないのかもしれない。そうして生まれてきた一つが、ミスボンのチョップショットなのである。
★ミスボンのレベルアップの理論
 ミスボンは次のような選手の分析を行い、レベルを読み取
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