この 樹 にそえて ・・・ no.48
三皇神社・・・ 愛媛県川之江市に、県指定天然記念物に指定された三皇神社の森がある。
別名を左遠之森(棹の森)といい、暖地性の常緑広葉樹や落葉樹が鬱蒼と生い茂り、亜熱帯性で北限にも近い
ナギが多く自生していることでも有名な所。 他に、クスノキ、モガシ、ミミズバイ、ネズミモチ、ヤブツバキ、モッコ
ク、バクチノキ、エノキ、ムクノキ、タラノキ、イヌビワなど、他種の木々が混生して、まるで樹木の博物館のようだ。
ただ明治初年の頃は、現在の4・5倍(7〜9千坪内外)はあったという。
祭神は日本武尊と、足仲彦尊(仲哀天皇)誉田別尊(応神天皇)大焦鳥鷯尊オオサザキ(仁徳天皇)で「三皇神社」
の名の由来となっている。 日本武尊(ヤマトタケル命)は、筑紫の熊襲を征定した帰路に、この森で仮泊された
と伝えられており、又神霊となった白鳥が飛来した地とも言われている。
前に同県新居浜市の一宮神社にいた「お楠狸」と、この棹の森にいた「おさんさん」という狸がとても仲が良いという
話を載せたが、実は二匹とも芝居が上手で、秋祭りには一宮神社で、合同の舞台をはり、参拝者に大いに喜ばれ
たという話もある。 また他に、川之江から新居浜に行商する魚屋さんがこの森を通りかかったとき「一宮のお楠に、
子供が安産したから心配せんようにいってくれませんか」と「おさんさん」が言づてを頼んだそうで、魚屋さんはそれ
を承知して「お楠狸」に伝えると「おおきに、おおきに」と返事をしたそうです。(妻鳥町誌第三集)
鳥居横にある楠は、大日本老樹銘木誌に「全国36番目の大楠」と記載されているという事だが現状ではそうは見
えない。 しかし、玉垣の内側にかなり高く盛り土された所に立っていて、根はそこから這い降りて下の鳥居の方ま
で伸びている。 もしこの盛り土をどかしたら、一体どれほどの根元があるのかわからない。
風害で枝を折られる度に又樹勢いを盛り返してきたという事で、今も青々と葉を茂らせている。
三皇神社の楠 目通り7.55m/樹高25/枝張り30m/愛媛県四国中央市妻鳥町・三皇神社
《 樹齢は550年、または1200年とも言われ、棹の森として県指定天然記念物に指定されている 》