この にそえて ・・・ no.238                           


          

 足代のナギの木・・・  徳島県の北西部に位置する旧三好町は、2006年3月に吉野川を挟んだ三加茂町と合併して

   東みよし市となった。ナギの木がある足代八幡神社は県道12号鳴門池田線沿いの南側で、徳島自動車道が交差する所の

   すぐ近く。この周辺では相当大きな神社で、広い境内にはナギの木の他にも大きな銀杏や楠があり社叢は大変立派なものだ。

   20数株あるというナギ林は県指定の天然記念物であり、特に拝殿前の鳥居近くにある最大の樹が策に囲われて保護されて

   いる。単一の主幹には空洞がありやや捩れるようにして立ち上がっている。途中から細い枝が多数発生して煩雑に絡み合っ

   ているようにも見えるが、葉陰の濃さからして樹勢は良いのだろう。案内には幹周4mに及ぶ夫婦ナギという表示があるがそ

   こまでのものは見つからず、形状からして2株立ちの片方が既に損失したのかもしれない。ナギの葉にはもともと男女や夫婦

   の仲を固く繋ぐような意味合いがあったそうで、独特の形をした丸い小さな葉は多少引っ張ってもちぎれない程強い。槙の仲間

   で、これが針葉樹だというのも不思議なものだ。神社でよく見かけるが、それ程の大木でもなくても樹名板や解説などをつけて

   特に大事にされている印象がある。ナギと聞くとすぐに草薙の剣を思い浮かべるが、ナギは凪の意味であり航海の守護、また

   神の憑依する依しろの木としても尊崇されたそうだ。オガタマの木や榊などのように神事に深く関わる樹木のひとつで、それが

   今でも受け継がれて大事にされているという事なのだろう。


   足代のナギの木 ・・・目通り周囲3m(資料値)/樹高10m/徳島県、東みよし市、足代・八幡神社/県指定天然記念物             


《大宮神社のナギ》 《法通寺のナギの木》