この にそえて ・・・ no.237                           


          

 大利八幡神社のカゴノキ・・・  阿波池田町の南部、祖谷川と松尾川が合流する地点を出合という。そこから少し下ると更に

   川は四国の真中を貫流する大河、吉野川と合流し遥か紀伊水道へと流れていく。様々な土地の養分を集めながら水を増やし土地を

   肥やす。吉野川の合流部に架かる祖谷口橋から見ると、高知から来た水と祖谷から来る水の色が全く違い、それが一気に混ざり合っ

   て流れ落ちる様が非常に印象的だった。そういう場所は人や文化の交流地点でもあり、昔から特別な場所であるという思いが強かっ

   たのだろう。先の「出合」という地名は他でも同じような場所に付けられている所があった。カゴノキがある八幡神社は吉野川東岸の道

   から暫く急な坂道を登った山手で、すぐ近くに大利リサイクルプラザがある。他は斜面に民家が点々とあるばかりの長閑な所だか神域

   は綺麗に整えられてなんとも清々しい。手水舎の隣りにあるカゴノキの立派さがますます引き立って見えるようだ。樹高は高くないが幹

   は県内でも有数の大きさだろう。完全な単幹で3mを超えるものは四国でもあまり見かけない。根元に損傷はあるが既に自力で治癒さ

   せようと樹皮を巻き込んでいるようだ。瘤々波打った根元がその奮闘を物語っている。一部枝の欠損があり主幹に対して繁茂もそれ程

   大きく無いが良く葉を着けていて中に点々と熟した黒い実が落ちずに残っていた。境内には他に大きなツバキや、少し離れたところには

   立派なナギノキもある。また大利から吉野川沿い東岸を池田市街へ向かって続く細道は、木造の3階建てや鄙びた小店、また昔の校舎

   のような古い写真館等、往事の賑わいを彷彿とする観光地ではない素朴な通りが残っていて、見ているだけでとても楽しい場所だった。


   大利八幡神社のカゴノキ ・・・目通り周囲3.33m/樹高10m/徳島県池田町大利字古畑・八幡神社