この 樹 にそえて ・・・ no.201
黒羽神社のホルトノキ・・・ 香川県の東端にある引田町(ひけた)は、播磨灘に面した馬宿川の作る小さな扇状
地で、町の北側にはハマチの養魚で知られる塩水潟湖の安戸池がある。 徳島へは海沿いに国道11号線が通じ、旧国
鉄高徳線は鳴門から板野町を通って徳島、高知へと向かっている。 その昔はこの高徳線を跨ぐような大阪峠を越える蛇
行した峠道で、今も残っている大阪峠からは播磨灘に浮かぶ小島や引田町を一望する景観ものぞめ、町の名所でもある
ようだ。 ホルトノキがある黒羽(くれは)は海沿いの馬宿からビク山の山裾に1〜2キロ程入った所で、玉垣の無い素朴な
神域に入ると、拝殿の額には妙見宮と書かれていた。 お社から少し離れた所にあるホルトノキは四国でも五指に入る程
の立派な巨木。 ただ主幹が途中から欠落し、内部も大きく空洞を生じて繁茂はかなり小さく成っている。 永い樹齢を感
じさせる老木然とした樹影で、蔓延る枝葉はおおかたが後から萌芽した若い枝が成長したもののようだ。 またウロが露
わとなり、断面がコの字状になってしまった幹の端が、内部に折れ込んで不定根のような状態で生き延びようとしている。
だがそれも軽くたたくとコンコンと乾いた音がしてもう殆ど枯渇している様子。 若い枝葉はこの老主幹が崩れ落ちるまで
どんどんと生長し続けるのだろう。
黒羽神社のホルトノキ 目通り周囲5.6m/樹高9m/枝張り7.2m/香川県東かがわ市旧引田町黒羽下内297・黒羽神社