東人の新居浜生活関東との違いPart 3


散髪

   新居浜で最初に床屋に行って、戸惑ったことがあった。
 散髪の中で、髪を洗った後、お湯を流したままにして、「顔を洗ってください」と言われたときである。
 新居浜の床屋では、洗髪の最後に自分で顔を洗ってからタオルを渡される。
 言われるままに顔を洗うが、いつも変だなと思っていた。
 関東の床屋では、顔を洗わされることは無かった。
 
 新居浜にも料金の格安の全国チェーンの理髪店ができて、昔からの床屋が店じまいしたりの変化が見られる。
 格安のチェーン店にも行ったことはあるが、洗髪は別料金であるため洗髪をしたことは無く、洗髪後の顔洗いがあるのかは分からない。
 


鯛飯

   「鯛飯」というものにも、地方により色々なものがあるようだ。
 神奈川県の平塚で育った東人には、「鯛飯」で思い出すのは小田原の「鯛めし弁当」である。
 ご飯の上に乗っている鯛のそぼろが甘く味付けされていて、子供の頃は好きな弁当であった。
 
 愛媛県での「鯛飯」は、多くの場合、鯛の炊き込みご飯である。魚料理店などでこの鯛飯がでることがある。
 当家でも、この鯛飯を作ろうとしたことがあるが、小骨が混ざり、食べられるものでは無かった。骨を除くのに何かコツがあるのであろう。
 
 同じ愛媛県でも、南予地方の鯛飯は、また別の物であった。
 宇和島で宿泊した時に出てきた鯛飯は、鯛の刺身を生卵を溶いた濃いめのたれに漬け込んで、ご飯にかけて食べるものであった。
 
 それぞれの地方独特の鯛飯があるようだ。


柏餅

   
 ゴールデンウィークに買い物に行くと柏餅が売られていた。
 良く見ると、「粒あん」入りと書いてある。
 関東では柏餅には「こしあん」が入っていたと記憶している。
 
 そう言えば、お萩も「粒あん」であった。
 関西では「こしあん」より「粒あん」が好まれるのだろうか?。


麻木

   
 お盆の季節。スーパーマーケットでは、お盆のコーナーが設けられていた。
 落雁などの菓子類と共に麻木(麻がら)という、長さ1m程の棒が売られていた。
 これを何に使うのか判らない。
 
 娘も「麻がら」を見つけて欲しいという。何か工作の材料にしたいようだ。
 娘の希望で購入したが、これは本来どのような使い方をするものだろうか?。
  
 「麻がら」は、お盆の時に燃やして「迎え火」や「送り火」とする物らしい。
 また、キュウリやナスで馬や牛を作るときの手足としても使われる物のようだ。
 東人はお盆の時に「麻がら」を使った経験は無くよく判らないが、全国的に使われている物らしい。


土用の丑の日

   
 土用の丑の日にうなぎを食べるのは全国共通のようだ。
 土用丑の日にスーパーマーケットに行くと、魚売場ではウナギ以外に 「土用しじみ」と表示されて「しじみ」が売られていた。
 「しじみ」はウナギと一緒に食べるものなのだろうか?。
 
  また、「あん団子」と「力餅」が売られていた。近くに説明書きがあり、「あん団子」と「力餅」も土用の丑の日に食べる習わしがあるということであった。
 これら「しじみ」、「あん団子」及び「力餅」を食べることは関東では記憶にない。
 
  先日、「きうり封じ」と書かれた旗を前面につけたバスが走っていた。何のことか判らなかったが、これは東予市の世田薬師で土用丑の日に行われる「きうり封じ」祈とうのことであった。
 「きうり封じ」は、病気をキュウリに封じ込めて治そうという祈とうのことであった。
 丑の日はウナギなど「う」の付くものに恩恵が多いとされ、「きうり」が祈とうに使われることになったという。」。
 「しじみ」、「あん団子」、「力餅」には「う」の字が無いが、愛媛の土用には必需品なのだろう。


カツ丼

   
 カツ丼も地域による違いのある料理の一つである。
 群馬県に居た頃、カツ丼を頼むと、カツだけをだし汁で煮込んだものがご飯にのって出てきた。
 上カツ丼と頼むと、カツ以外に玉葱や卵が入った普通のカツ丼が出てくる。
 
 また、長野県に行ったとき、ある店で大正カツ丼という名前で、ソースで煮込んだカツ丼を作っていた。
 名古屋は味噌カツが有名で、味噌カツ丼もあるようだ。
 
 愛媛のカツ丼は、関東の普通のカツ丼に近いようだが、作り方が少し違うようだ。
 普通、関東では親子鍋という平らな鍋でカツと玉葱や卵等を煮込んだ後に、どんぶりの上にのせる。
 新居浜に来てから、カウンター形式の飲食店で料理の様子を見ていると、カツをご飯の上に載せ、その後に別の鍋で野菜や卵を煮込み、最後にカツの載った丼にかけていた。
 カツへの味の染み込みは少なく、汁の多いカツ丼となる。
 
 刑事ドラマでは、容疑者の取り調べの合間にカツ丼を出し、その後に自白が始まるというのが定番である。
 まだ、逮捕された経験も無く、実際の取り調べを知らないが、その容疑者の出身地にあったカツ丼を出すと、より自白を引き出す効果が出るのでは無いだろうか。


ポケットティシュ

   
 都会に住んでいると鉄道の駅に行くと、何らかの宣伝のためにポケットティシュを配っているのによく出会う。
 貰ったポケットティシュは使いきれずに、貯まる一方であった。
 新居浜での生活では、駅に行くことは滅多に無い。
 車で用事が済むため鉄道は使わないし、新居浜の駅でポケットティシュを配っているのを見たこともない。
 都会では余っていたポケットティシュが、新居浜ではなかなか貰えない。
 関東の実家から荷物を送って貰うときには、クッションの代わりにポケットティシュを入れて貰うようにしている。
 松山に行き大街道を歩いた時、ポケットティシュを配っている人がいて珍しく思った。
 
 最近では新居浜でも買い物した時にポケットティシュを入れてくれる店もあり、スーパーマーケットの入口でポケットティシュを配っている事もあるが、都会ほどは頻繁に貰うことは無い。


花いちもんめ

  娘から、学校で遊んでいる「花いちもんめ」の歌を聞いた。
 東人の子供の頃の記憶と歌が少し違っている。
 歌詞も違うが、節回しも少し違っているようだ。
 地域の違いだと思うが、両者の歌詞を比較してみる。
新居浜の「花いちもんめ」
(娘から聞いた歌詞)
関東の「花いちもんめ」
(東人が記憶している歌詞)

 隣のオバサンちょっとおいで
 オーニが恐くていれません
 座布団かぶってちょっとおいで
 座布団無いかられません
 お布団かぶってちょっとおいで
 お布団無いかられません
 あの子がほしい
 あの子じゃわからん
 
 
 相談しよう
 そうしよう
 ○○ちゃんがほしい
 △△ちゃんがほしい
 (ジャンケンポン)
 勝ってうれしい花いちもんめ
 負けてくやしい花いちもんめ
 (以下、繰り返し)

 隣のオバサンちょっとおいで
 オニーが恐くていかれません
 お釜かぶってちょっとおいで
 それでも恐くていかれません
 
 
 あの子がほしい
 あの子じゃわからん
 この子がほしい
 この子じゃわからん

 相談しよう
 そうしよう
 ○○ちゃんがほしい
 △△ちゃんがほしい
 (ジャンケンポン)
 勝ってうれしい花いちもんめ
 負けてくやしい花いちもんめ
 (以下、繰り返し)
 このページを見た人からメールをいただいた。
 関東(神奈川)でも
   お布団かぶってちょっと来ておくれ、
   お布団ぼろぼろ行かれない。

 などと歌うところが有るらしい。
 
 また、名古屋では、
   箪笥、長持どの子がほしい
 という歌であるとのこと。
 
 地域により、微妙に遊び歌が違うようだ。


お萩

   
 秋分の日にスーパーマーケットに買い物に出かけて、「お萩」が売られているのを見かけた。
 2種類のお萩が置いてあった。
 「粒あん」のお萩と「きなこ」のお萩。
 「きなこ」のお萩?。初めて見た。
 東人の知っているお萩は、全て「あんこ」のお萩であった。同じ「あんこ」でも、「粒あん」では無く、「こしあん」だったと思う。
  
 お萩とは別の売場で、「きなこ」のぼた餅も見かけた。 


天ぷら

   
 天ぷらという言葉には、愛媛では二つの意味があるようだ。
 普通の衣をつけて油で揚げる天ぷらを天ぷらと呼ぶのは共通である。
 それ以外に、「薩摩あげ」のような、魚のすり身を油で揚げたものも天ぷらという。
 宇和島名産の「じゃこ天」や新居浜名産の「えび天」もこの天ぷらに属する。
  


寿司

   
 新居浜でも、寿司は関東のものと大きな違いは認められない。
 ある寿司屋に行くと、割り箸の袋に「江戸前」ならぬ「瀬戸前」と書かれていた。
 新居浜には寿司屋及び回転寿司屋が数件あるが、当家では小僧寿司で寿司を持ち帰り、家で食べることが多い。
 小僧寿司については、ロサンゼルスの空港でも見掛けた。看板には「SUSHI-BOY」と書かれていた。
 
 寿司について大きな違いは感じていなかったが、関東ではよく出てくる光り物の一種「こはだ」は新居浜では見られないということを人から聞いた。
 そう言われてみれば「こはだ」は見掛けない。東人にとっては「こはだ」は口に合わないネタであり、気がつかなかった。
 「こはだ」が好まれる地域に偏りがあるのか、ネタの採れる地域が偏っているのかは判らない。
 調べてみると、「こはだ」は「このしろ」という魚で、分布は本州以南の各地の沿岸域から朝鮮半島、中国、台湾、インド、ポリネシアまでの地域で、淡水と海水が混じり合う汽水域や内湾の中層域に群れて生息する魚らしい。関東でしか採れない魚では無さそうだ。 
 
 西条出身の人からのメールで、「こはだ」についての疑問が解消した。
 「こはだ」が好まれていないわけでも無く、ネタが採れないということでもなかった。
 スーパーマーケットで、「このしろ姿寿司」というものが置いてあるのを確認した。
 一匹分の「こはだ」のみがパックに入っていた。
 
 新居浜地区では、「こはだ」は、にぎり寿司のネタでは無く、「このしろ寿司」としてスーパーマーケットで買ってくる物、あるいは家庭で作るものということであったようだ。