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Music and Sports |
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村山先生、今晩は! 今年も早くも師走を迎えました。年末にかけてお仕事と作曲ともお忙しい毎日と推察申し上げます。今年一年を振り返りながら近況報告とさせて頂きます。私は普段はテレビを見ることは少ないのですが、時に視聴すると良いヒントを頂くことも御座います。音楽とスポーツと云うと何の関係があるのかと思われるかも知れませんが、時間の芸術と時間を争うスポーツには共通点があります。それも音楽で云うテンポとは単位時間で言えば0.01秒以下の時間の変化を指しますが、スポーツでもそれ位のオーダーで勝負が決まると思います。今年の話題を独占したイチロー選手の場合は将に0.01秒以下の勝負を毎回している様ですね。例えば内野ゴロが結果としてヒットになっても、打ち損ないであれば厳しい反省をし、タイミング良く打って野手の正面であっても良しとすると云うものですね。私は阪急電車沿線に長らく住んでいたので、昔からの阪急ブレーブスのファンですが、その後継球団のオリックスから日本人初の大リーグMVPを出したことを嬉しく存じています。若干28歳の天才選手の哲学には以前から共感するものがあります。「結果よりプロセスを重視する」という一貫した姿勢には多いに賛同しています。何故ならプロセスが無ければ結果はあり得ないからであります。MVPの記者会見で彼は、「この結果は嬉しいがそれが目的ではないし、この結果がプレッシャーになることも無い。」と云う意味の事を言われた。その父親は「今度のコメントが一番良かったが、まだまだ入門したばかりですから。」とも。普通の選手なら大リーグのMVPになればそれでもうお仕舞のところなのに、それも入団一年目でいきなり最高賞を獲得しても満足することが無い姿勢は素晴らしいと思います。前人未到の記録はこうして生まれるものやという見本を示して頂いたと感じています。私達も前人未到のオペラの制作をライフワークに取り上げたのですから、「プロセスを重視して結果に安住しない」姿勢を最後まで貫きたいと気持ちを引き締めている今日この頃で御座います。 今日はNHK杯フィギュア・スケートとラグビーの早明戦を視聴しました。熊本で行われた今年の大会では見事な演技を拝見しました。そしてあのスピンこそ、エレッタのスピンの舞にぴったりと感じました。オペラの舞台でフィギュア・スケートのスピンを如何実現したら良いか等と考えていました。スケートのあの速いテンポは音楽そのものであり、決まれば本当に美しいですね。早明戦では15点差を後半に追い上げて、最後の1分で逆転した早稲田の戦い方に感銘を受けました。その戦法とは、大量点を逆転するにはトライするしかないので、ボールを速く出して速く繋いで突進するというものです。最後の10分間で右に左に速く出したボールを前へ前へと押して最後に34−33まで追い上げた時、相手の反則を誘いゴールキックを得て34−36と逆転してノーサイドとなりました。この速いスピードでボールを出して走るという攻撃パターンを繰り返す早稲田が、リードして守りに入った明治を圧倒した試合でした。ここでも結果よりプロセスを重視する戦法が生きていますね。この姿勢を続ける限り、負けても次に繋がるし勝てば更に拍車がかかる結果を生むことになるでしょう。その勝敗の分かれ目が0.01秒以下のテンポの差で決まることを改めて実感致しました。テンポの差で決まるのは音楽と同じと我が意を得たりのTV観戦でした。私達のプロセスとは作詞や作曲をしている時だけでなく、毎日目覚めている時も、眠っている時もオペラ制作への長くて遠い道程を、意識の上でも意識下でも努力を集中して継続して行く姿勢のことであります。何気なく聞いている音に音楽を感じ、どんな歌や音楽を聞いてもヒントは有るものですね。音楽を聴いては歌を思い、詩を読めば音楽を感じる楽しい毎日で在りたいと新しい世紀に希望を持ちたいと存じます。11月はほぼ一ヶ月間風邪で制作を休んでいました。運動選手が走り込みから練習を再開する様に、今月からまた再び聴き込みから始めて音感が戻るのを待ちます。音感が戻ればやっと作詞を再開することが出来ます。準備運動に要する時間は毎回変化しますので解りませんが、集中と継続のプロセスの中で時を待つだけですね。2002年が先生におかれてもどうか良い年であります様に一重に祈念申し上げます。(拝) |
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2 Dec 2001 |
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