「ジプシー男爵」(2):ワルツ・オン・パレード

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Ky-052

Johann Strauss : Der Zigeunerbaron(2)

ヨハン・シュトラウスの「ジプシー男爵」は約2時間30分のオペレッタですが、そのワルツの楽しさをメドレーで約80分のCDに収録することに成功しました。以下はそのトラックごとのご紹介です。ご気分が最高の時にまた、気分転換の時に何回もお聴き下さい。CD-AUDIOは75分24秒間の録音時間です。トラックは01から19までありますのが、続けて聴いて頂くのが一番楽しいと思います。ではウィーンからの香り高いワルツのオンパレードの始まりです。

TR01: Act I Ouvertuene (5:58)
TR02: Arie Barinkay:”Als Flotter Geist”(2:42)
TR03: Arie Zsupan: ”Ja, Das Schreiben Und Das Lesen"(2:20)
TR04: Arie Arsena: ”Dem Freier Naht Die Braut”(2:20)
TR05: Walzer: ”Tanzen Des Juenglinge"(3:06)
TR06: Arie Saffi: ”So Elend Und So Treu"(6:10)
TR07: Chor Zigeuner: ”So Elend Und So Treu"(2:49)
TR08: Duet Czipra, Barinkay:”Bin Ich Schon Zigeunerbaron"(2:08)
TR09: Arie Saffi: ”Bin Ich Eine Arme Zigeunermaedchen"(1:59)
TR10: Act II Ouvertuene Und Arie Barinkay: ”In Dieser Nacht”(4:25)
TR11: Chor Zigeuner: ”Auf, Auf, Vorbei Ist Die Nacht"(3:18)
TR12: Duet Saffi Und Barinkay: ”Wer Uns Getraut"(4:06)
TR13: Arie Carnero: ”Nur Keusch Und Rein"(2:12)
TR14: Arie Homonay: ”Her Die Hand” Und Walzer Kavalleries(6:27)
TR15: Arie Czipra: ”Sie Sind Nicht Meine Tochter" USW (7:10)
TR16: Act III Ouvertuene Und Chor: ”Maenner Zurueck Kommen”(3:30)
TR17: Arie Zsupan: ”Aus Des Tajos Strand"(3:27)
TR18: Marsch Und Chor: ”Hurrah, Die Schlacht Mitgemacht"(2:06)
TR19: Finale Und Radetzky Marsch: Ende Der Operette (8:57)

如何でしょうか? ウィーンのオペレッタは軽快で心がうきうきする様でも、何処かにやはり気品があります。特にワルツ王のヨハン・シュトラウスの「ジプシー男爵」と「こうもり」はどちらも最高に楽しいオペレッタとして定番です。同じくカールマンの「チャルダーシュの女王」もこれらに優るとも劣らず楽しいオペレッタです。ハンガリーをテーマとするウィーンのオペレッタがその基本様式になっているからです。この楽しいオペレッタも歴史を辿れば、18世紀の終わりにモーツァルトがウィーンで完成させたオペラ形式から全て派生しています。モーツァルトはイタリア語のオペラを超えてドイツ語本来のジングシュピールに到達しました。ウィーンにはこうしてドイツ語のオペレッタが生まれる歴史的条件が育まれていたのです。しかし、ヨハン・シュトラウスにオペレッタを書くように勧めたオッフェンバックはパリの「オペラ・コミック」をウィーンに持ち込んで来ましたが、こく一部の作品を除いて下品な軽歌劇に過ぎませんでした。ヨハン・シュトラウスは父子二代に渡ってウィンナ・ワルツを完成させました。将にそのウィンナ・ワルツがオペレッタの品位を低俗化から救ったのです。その歴史的潮流には古典派音楽の完成者としてのモーツァルトの巨大な遺産がウィーンの音楽に今も泉の如く湧き出づるが故にウィーンは世界の音楽史に不滅の地位を築き上げることが出来ていると信じる者であります。オペレッタの研究はオペラ研究の一部に過ぎません。こんな楽しいオペラもあることを知っていることは、本格的なオペラを書くために必要なことでありますから、「魔笛」の研究を一休みして「ジプシー男爵」をお届いたしました。次回からは再び、オペラ研究の本来の道に返って「魔笛」の台本研究に戻ります。
(11 Apr 2001)

雁文を今宵も待ちつつ居寝にけり、声も聞こえず月も隠れぬ!

Tonight slept in waiting for a bird mail, the moon was shaded without voices !

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文献 「オペラ全集」 芸術現代社 1980

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「歌劇大事典」 音楽之友社 1962

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