モーツァルト: 「フィガロの結婚」

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Ky-026

Mozart : Le Nozze di Figaro

今日は久しぶりにモーツァルトの「フィガロの結婚」を聴きました。1986年3月21日に、ウィーン国立オペラの東京公演の録画(ベータ版)を最近DVDに収録したものです。フィガロ役にアルベルト・リナルディ、スザンナ役にバーバラ・ヘンドリックス、アルマヴィーヴァ伯爵にヨルマ・ヒィンニネン、伯爵夫人にグンドゥラ・ヤノヴィツ、指揮はシルヴィオ・ヴァルヴィーゾ、ウイーン国立歌劇場管弦楽団と同合唱団の出演でした。前奏曲があり、第一幕から第四幕までありますが、始めから終わりまで誰でも良く聞き覚えのある名曲のオンパレードです。オペラ作品はどれも長大なものなので、これを100回聴くことはそうそう簡単には出来ませんが、機会ある毎に聴いては来ました。この作品はモーツァルトが30歳の時の作品で、今から200年以上前の1786年5月1日にウィーンでモーツァルト自身のハープシコード演奏と指揮の元に初演されたとのことです。イタリア語によるオペラ制作はこの後の「ドン・ジョヴァンニ」、「コシ・ファン・トゥッテ」と続き、最後の「魔笛」では自国語のドイツ語になりました。モーツァルトのイタリア語のオペラは、オペラの歴史的な基本形式を忠実に踏襲しており、アリアは必ずと言って良い程に、ABA形式で歌い上げています。登場人物とコーラスが同じ旋律を繰り返し歌うのも基本形式になっています。現代の感覚から云えば、すこしくどい位ですが、イタリアでギリシャ悲劇を復活しようとして誕生した、1600年、ぺーり作曲の「エウリディーチェ」以来の歴史を継承しているのです。オペラも誕生以来既に400年になりました。音楽史上の歴史的役割を終えて、「ミュージカル」にバトンを渡したかに見える現代ですが、私はオペラは未だ歴史的使命を終えてはおらず、現代以降においても新しい作品が生まれることは可能であると信じています。もう一度オペラの原点まで帰って、再出発する必要を感じています。言語はイタリア語だけでなく、世界のどの言語でも可能であると思いますが、国際的には英語が一番普及しているので、音楽上のハンディはあるものの、英語版による台本を書く必要性を感じています。また、オペラは四楽章のものも多いですが、私の意見は基本的には三幕で十分と考えています。「フィガロの結婚」の場合は、筋書きから云っても四幕が必要な内容でもあります。
世界の音楽史上で
天才中の天才は、やはりモーツァルトの右にでる作曲家はいないと思います。多くの天才達と同じく、四歳から音楽活動を父の指導の元で始めました。ハイドンなど当時の大家の門を訪ねながらも、作曲家として世界で初めて職業を作曲家とした最初の人でもあります。このことだけでも歴史的ですが、1756年に生まれて、若干36歳で1791年に他界していますが、音楽活動は32年を超えるマイスターなのです。最後の歌劇作品は、オペラ「魔笛」であることは云うまでもありませんが、ベートーベンはこの最後の作品をモーツァルトの最高傑作と称賛したし、ゲーテもこの作品の真髄を理解して、続編の上演を企画していたと伝えている。何故に200年も前のモーツァルトのオペラ作品をオペラの基本形式とするかは説明を要しないところですが、形式的にはモーツァルトがオペラの基本形式を完成させたと言えます。その基本形式から、次の時代に到ってオペラは空前の発展を遂げることになります。そして、イタリアのヴェルディとドイツのワーグナーの時代にその最盛期を迎えた後、近世ではプッチーニ、マスカーニ、ジョルダーノ達の第二のイタリアオペラの再興のあと、歴史的には見るべきものはなく、誕生から400年で歴史上の古典オペラとして、人類が成し遂げた最大規模の音楽劇作品として後世に伝えられることになりました。オペラの研究を進める上で、モーツァルトの作品がその基本であり基礎となることをご理解頂ければ嬉しく思います。古いモーツァルトからまた新しいモーツァルトが誕生することを祈りながら、しかしそれはあり得ないことでありますが、敬虔な気持ちでオペラの研究を続けたいと念願しています。
今年は村山さんの「オペラ・ホリスティック」「同日本語版」「シルクロード幻想曲」と作詞を続け様に書き上げた後の虚脱感から、今暫くは音楽的イメージが湧いて来ないので、「
迷えば原点に返れ」という古言に従い、久しぶりに、「フィガロの結婚」を聴いての感想を申し上げました。(12 Nov 2000)

こころから愛し合うとは言うけれど、糧のなければ生くるあたわじ!

Love is money my Darling because we could not live without foods !

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文献:「オペラ全集」 芸術現代社 1979

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NHK 教育TV 放送録画 1986

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