オペラ「ホリスティック」日本語版

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Ky-024

OLH Japanese Edition being uploaded

遂にオペラ「ホリスティック」の日本語版が上がりました。平成12年6月3日に英語版が先に上がりましてから四ヶ月が過ぎていました。このオペラ「OLH」は、初めから英語版として書かれました。理由は100年先に、何処の国で上演されるかも分からないので英語版を普及させる必要がありました。ですから、今度の日本語版は英文をそのまま日本語に翻訳したものではありません。英文版のテキストを基本としながらも、日本語では英文版とは別の意味を表現をしなければならない個所も当然出てきました。私は日本語による作詞を軽視する者ではありません。100年先の国際性を確保するためには、初めから英文版で書かざるを得ないからです。英文版と日本語版を見られて、どんなご感想をお持ちになりましたでしょうか。
日本語はイタリア語と同じく、ほとんどの語尾を母音で終えるという、極めて音楽性に有利な条件を備えています。あのイタリア歌劇の様に、日本語のオペラも声高らかに朗誦出来る筈でありますが、これまでの1500年来の日本の音楽の歴史は、日本語の持つ音楽性を十分に発揮させる機会のないままに21世紀を迎えることになりました。イタリア語とは全く異なる、音楽性の高い日本語オペラの登場を長年夢見て来ました。それはまだ誰も成功していませんが、それを生み出すには日本人音楽家と詩人が共同して創作と実験を繰り返すしか方法がありません。20年も前に、私は秋田県に赴いた際に、劇団「わらび座」を訪問して、原太郎先生に質問を投げかけたことがあります。先生は若い頃より日本各地の民謡を採取して、オペラを書いて上演して来られたので、私の目指す「日本語によるオペラの作品」が何時生まれるかと若輩の奢りから、先生を困らせる質問をしてしまいました。先生は私を見て不思議そうな顔をされて答えてくれました。「我々の目の黒い内は無理だよ。21世紀の日本人に夢を託そうではないか」と。「それまでは日本民謡や詩と音楽の歴史を調査して回りなさい」とも言われました。日本の
声明が現代までの日本音楽の基調になっているのと、西欧教会では合唱のための和声の発明などとの差異はあまりに大きいと言うべきでしょう。私達も日本音楽の発展途上の時代に生まれているので、21世紀に向けて、階段を一つでも上がれるように積極的に音楽的実験を進めて行きたいと希望しています。
私達の初めてのオペラ作品であるこの作品を、何時かは完全なオペラに育て上げたいと念願しています。英文版とはすこし異なる日本語版となりましたが、参考作品として、英文版と比較して下さる様お願い致します。作詞を担当した私自身の感触は、日本語による作詞は「
言葉を削るのが難しい」という印象です。これに対して英文版では、日本語に比べて英語の語彙そのものがかなり少ないので、「初めから簡潔な表現がしやすい」と思います。日本語版を英語に翻訳するのではなく、英文版では初めから英語で表現して行きたいと考えています。これからも言葉が替われば別の作品と考えて作詞を続けたいと思います。また、作曲家が初めて作品を読まれた時、自ずと旋律が湧いてくる様なそんな作詞が出来れば良いと祈念しています。
(1 Nov 2000 
H

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