作者と作品

Ky-011

Composer and Works

music forum
ある日の昼休みにNHK-TVの「Studio Park」という番組を見た時にClassic Guitarの曲が流れて来ました。その時すぐに、「これは只者ではない」と直感しました。改めて画面を見ると、やはり村治佳織さんでした。若干21歳ながら、その道18年の大ベテランでもありますから、只事ではない音色がテレビから流れていたのでした。ギターを3歳から弾いていたといいますから、プロのギタリストの父親から9歳まで英才教育を受け、10歳から福田真一さんに指示した後、15歳からはパリに出て最高レベルのレッスンを受けて、中学生の時から既にプロ活動を始めたといいますから、きっと此の方も天才ギタリストなのでしょう。
早速、「Aranjuez Concert」アランフェス協奏曲というCDを買い求めて来ました。まだ一回しか聴いていませんが、若さを残してはいるが堂々としたベテランの演奏と写りました。丁度、HorowitzのChopinを聞いていた後でしたので、高齢のHorowiwtzと比較するとやはり21歳はあまりに若いと感じますが、これからどの様に成長されるか、本当に楽しみな
村治佳織さんですね。
音楽は絵画と異なり、作曲者と演奏者という主体と客体を持つ特色があります。絵画なら一人だけの制作による作品ですから。Berliozの幻想交響曲を何人かの指揮者で演奏されたのを聴いたことがありますが、何時か京都で小林研一郎さん指揮の京響の定期演奏会でBerliozのこの曲を聴きました。そのテンポの遅さにびっくりしました。最後までそのSlow Tempoに着いて行けなかったのを覚えています。一緒に聴きに行った奈良の彼女は、大変感激していましたが、私はもうひとつでした。最近、小沢征爾さんのCDで同曲を聴きましたところ、こちらの方は私のイメージに近いと感じています。音楽の場合はこの様に、一人の作曲家の作品を時と所を超えて再現できるという特色は他の芸術にはないものですが、それ故に「
作品は作者から離れる」とか云われる所以であります。ですが、楽譜に印刷して配本するという伝統的な発表形式がもしなくなり、作曲者が自らCDやDVDと云ったMediaで直接配給するという時代になれば、音楽も作品は作曲者のOriginalなもの一本だけになると云うことになってしまいます。その媒体の保存も「永久保存」と来れば、如何でしょうか? 絵画の分野に喩えれば、版画や金工作品の様なものになるのではないでしょうか。そうなると、誰が弾いたChopinが良いとかいうこれまでの伝統的な音楽の楽しみ方が無くなってしまい、寂しくなるとも思います。今まで古典となっている名曲は、作曲家自身の演奏した作品は原則としては記録媒体に残ってはいませんが、これからは一部に残る可能性があります。このことの次世代に与える影響は大きいと考えられますが、村山さんはどのようにお考えになるでしょうか。何時かご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。 (平成12年4月11日)

比類なき匠の道は険しくも、古の歌今よみがえる!

So precipitous be the way of virtuoso, now to bear new ancient songs again !

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