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| タイトル | ： Re: ノルウェーでのテロについて |
| 投稿日 | ： 2011/08/06(Sat) 17:05 |
| 投稿者 | ： ムスリム |
> 私はノンムスリムなのですが、ムスリムのみなさんは今度のテロについ
> てどのように考えているのでしょうか？
専門家ではないので簡単にだけ話します。
現在見た限りでは、日本のメディアはあまり取り上げていないようですが、実は今ヨーロッパではちょっとした新しい論争になっていて、どう言った対応を取ればいいのか分からないという状態になっています。
今回のテロはキリスト教徒の人が、「ムスリムに対する警告」と称して、関係のない人々の命を奪うこととなりましたが、一部の専門家はこのような思想を持ったキリスト教徒を「キリスト過激派」と呼んでいます。
今まで私達はテレビなどで「イスラム過激派」という言葉を散々聞かされてきましたが、これはつまり「宗教の元で関係のない命が犠牲になるのは、仕方のないことで宗教上許されることだ」という過激な思想を持ったイスラム教徒のことを指します。もちろん、普通の一般ムスリムはこのような考えをもっていないので、安心してください。
ではなぜ、メディアは以前の9.11の時のように思いっきり「イスラム過激派」と言う言葉を使って9.11の主犯を叩いたのと同様に、今回のテロの主犯も「キリスト過激派」と言った言葉を使って叩かないのか。実は今ここが、論争の問題点になっているのです。
今回の事件を起こした犯人のブレイビグ容疑者は自分を右翼思想を持ったものであり、保守的なキリスト教信者と証言しているが、問題は「右翼思想＝キリスト過激派」として見るか、それとも「右翼思想≠キリスト過激派」と見るかといったことになります。もし前者の見方をとれば、オランダの国会議員であるヘルト・ウィルダース氏のようにヨーロッパ政治内部でも右翼思想を持ったものがいるため、彼らをキリスト過激派と呼べるかどうかが問題になっています。後者の見方を取れば、キリスト過激派というものはまったく新しい発想になるので、この定義を定める必要があるとのことになります。
ヨーロッパで右翼思想の人達がムスリムに対する反感をあらわにしたのは今に始まったことではありません。フランスでのヒジャーブを禁止した件、デンマークでの預言者ムハンマドをマンガ化した件、オランダでのクルアーンを侮辱したビデオを作った件、そしてスイスでのモスクのミナレットの建設を禁止した件など、たくさん行われてきました。ただ、今回の件もそうした右翼思想を持った人によって行われてきたのか、あるいは過度な右翼思想主義者によって生み出された人なのか、あるいは右翼思想とはまったく関係なく、別のところで「キリスト過激派」という思想が広がっているのか、現状ではまだ分からないとのことです。
そして、もう一つ今回の件で大きな点は、今回のテロがキリスト教徒によって行われたということです。BBC、CNN、AP通信、ロイターなど、実は世界を代表する大きなメディアはどれもがキリスト国家圏内にあり、少なからずとキリスト教徒の影響下で運営されています。もちろん、「報道の自由」という言葉があるため必ずしも報道されたすべての情報が偏っているとは言えませんが、専門家によると今回の件に関しては、メディアも同じキリスト教徒の人を「キリスト過激派だ」と簡単には叩けないとのことです。つまりこの方が何を言いたいのかといいますと、例えば戦場で正面から打ちこんでくるものは「敵だ」簡単に断定できますが、もし正面からではなく内部のものから打ちこまれた場合は、この者を裏切りものと判断し敵と断定するのか、あるいは誰かに洗脳されて、あるいは弱みを握られていて操られていて、まだ見方だと断定するのは簡単なことではありません。今回のテロはキリスト教徒によってキリスト教徒の命が奪われました。そのためテロの主犯をまだ自分達と同じキリスト教徒と認めて報道するべきか、それとも同胞を殺した敵として報道するべきか、意見が分かれています。
いずれにしても、今回のテロは関係のない命が奪われたというムスリムの人達にとっても悲しい出来事ですが、それ以上に「ムスリムに対する警告」と主犯が口にしているためムスリムの人達にとって、特にヨーロッパムスリムの方々にとっては、あまり起こってほしくない出来事であることは間違いありません。