この にそえて ・・・ no.60                                     


       

 志度寺の楠・・・ 真言宗補陀落山清浄光院、志度寺。四国遍路の第86番札所で、その縁起は遠く推古天皇の御代

   まで遡ると言われている。境内には、松に白砂、また大小の石を池の辺に配した山水の庭園があり、広い敷地には様々な翠

   で沸き返っている。その繁茂から少し外れた建物の裏地に、志度寺の楠がある。幹は丸々と肥えて大きいが、根元には樹皮

   の剥奪した損傷部分がある。また頭頂部の枝枯れも目立ち、立派な樹だけに少しもったいない有様だった。

   以前は駐車場のような空間で、根元の踏圧が樹勢に影響したのだろうか。かなり地盤は踏み固められているようだ。

   最近になって、すぐ前にアパートのような建物が建って、樹の様子もやや様変わりしたように見えた。

   志度寺には海女の言い伝えがある。

   「その昔、唐朝より藤原家に送られた重宝が志度浦の龍神に奪われ、それを奪回せんとこの地にやってきた藤原不比等が

   逗留中に地元の海女と結ばれて一子をもうける。そして女は不比等と子の為に海に潜り見事宝玉を奪い返し、自ら裂いた

   乳房の中にそれを隠して持ち帰った。」 寺には海女の供養塔とともに、悲話が謡となって今に伝えられている。

    


   志度寺の楠 目通り7.1m/樹高20m/枝張り23m/香川県さぬき市(旧志度町)・志度寺

 近くにはかつての名松「岡野松」のあった真覚寺や、平賀源内の生誕地などもある。》


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