この にそえて ・・・ no.52


  

 無農薬・・・ 近頃農薬を極力使わない有機農業が少し見直されているらしい。

   埼玉にいる従姉が、そんな話をしてくれた。 この人は、元は都心の出版社に勤めていたそうだが、よく海外にも行

   くので外国の特に物質社会でないインドの田舎などの様子に感銘を受け、突然埼玉の田舎で農業をやり始めた。

   インドではとにかくゴミが出ないそうだ。 なにをするにも全く無駄のない質素な暮らしで、その中で初めて生まれる

   知恵や楽しみがたくさんある。 バスの待ち時間に、客がその場でカレーを炊き始めて「お前も食べろ」と御馳走して

   くれたそうだ。 材料も水もそこらから調達してきたのだろう。目の前のやや公衆便所と化したような川から汲んだ泥

   水を差し出されて思わず、隠れてコップに殺菌剤を流し込んだが、さすがにそれは飲めなかったと言って笑っていた。

   農薬が盛んに使われ始めた頃、それ程環境問題などという言葉は聞こえていなかった。

   モウモウと噴霧器から田畑一面に流れてくる白煙の中を、鼻をつまみながら楽しく下校していたものだ。 雑草や害

   虫を駆除してより効率よく収穫をするには、より強力な農薬が必要だったのだろう。 ただ、これが草や虫を殺すだけ

   でなく、作物自体や土壌にまで影響を及ぼしていたのだとすると問題になる。 ただ無農薬農法は理想的だが、それ

   だけに大変なことのようだ。 安定した収穫がないと採算が取れないし、現在の需要に対応することは難しい。

   機械化と農薬の発達で、農業は今の需要をようやくまかなっているのではないだろうか。

   「みんなが贅沢をちょっとずつ我慢すれば・・・」 と従姉は言った。

      


周敷神社の楠 目通り7.5m/樹高20m/枝張り20m/愛媛県東予市周布・周敷神社

《 学校の近くにあり、おそらく上の物に間違いないようだが、目測ではやや数値が下回っているようにも見えた。樹齢は900年とも・・・》