この 樹 にそえて ・・・ no.40
「山婆さんの大桂」
呼称・・・ 古くて大きな樹には、特別な呼び名がついている場合がある。 一番ホピュラーなのは、「大」とい
うのが最初に付く、大杉、大楠、大銀杏など。 銀杏では「乳銀杏」というものが特に多い。 杉では「千年杉」や
「夫婦杉」、「山の神の杉」というものも良く聞く。 また樹に特別の謂われがあって、そこから来た呼称を持つも
のは物語を含む響きがあって面白い。 徳島県北島町の「糸引き婆さんの銀杏」 愛媛県一本松町の「戸立て
ず権現の楠」 徳島県阿南市の「お水大師の杉」 高知県須崎市の「水吹き銀杏」など。
愛媛県川之江市の「槍下げの松」は・・・ 土佐の山之内公が参勤交代のおりに庵内から道に低く棚引いた松
の大枝に阻まれて暫し立ち往生となった。本来なら無礼な枝を切り落として進むべき所を、その枝ぶりの見事
さに殿自らが感嘆し行列は槍を降ろし、馬上の武者は身を屈めて通ったという伝説がある。(平成10年10月
に惜しくも枯死) また名前は面白いが、それにどんな謂われがあるのか解らない場合は、更に興味をそそら
れる。 前に徳島県木頭村で見つけた「山婆さんの大桂」 という樹がなんともいわくありげで興味のある一本だ
った。 語り伝える人が居なくなると、その伝説も忘れ去られ、樹とその不思議な名前だけが残る事となる。
※樹の呼称に誤りがあり訂正しました。/2002.5.23
オリドの杉 目通り7.9m/樹高39m/枝張り21.8m/高知県本山町吉延・阿弥陀堂
《 健康で張りのある堂々たる主幹で、樹齢は1000年ともいわれる。》