この にそえて ・・・ no.36


    

 岩屋寺・・・ 「山高き 谷の朝霧 海に似て 松吹く風を 波にたとへむ」 と弘法大師が詠み、この地を海岸

   山と名付けた。 奇岩と鬱蒼とした杉林。 谷に七羽の霊鳥が住んでいたという札所中でも一番の仙境で弘法大

   師がやってきた時には、本当に仙人がいたそうだ。 その仙人は大師の説法に帰服して一山を献上し、大往生を

   とげたという。 石段を登っていくと、お堂が岩の中に食い込んでいるような、なんとも不思議な景観で驚いた。さ

   らに山門を抜けてその奥に上っていくと、白山権現という奥の院があり行者が自らを鍛える行場となっているそ

   うだ。弘法大師もこの山で死にものぐるいの修行をして、自らを再発見したとも言われている。それにしてもよく、

   こういった所にこういうものを造ったものだ。 その発想と構成力には、空海の非凡な才能の片鱗が感じられた。

   山道の途中には杉の大木の他に、目通り5m以上の大きなトチノキなどもある。 ただ杉の巨樹は、資料にヒノ

   キと載っていて少し期待して上ったのだが、これは杉の誤りだったようだ。


岩屋寺の杉 目通り8.2m/樹高30m/愛媛県美川村七鳥・岩屋寺

《 やや扁平の幹だが、直立して根元が大きく広がっている。根周りは20m程はあるようで、堂々とした本山の第一木である。》