この 樹 にそえて ・・・ no.267
丸石のカヤ・・・ 国道439号線の早明浦ダム近くから伊勢川川に沿って南下し、松ヶ丘のバス停から分岐した道を右折して溜井へ。
あたりは棚田が広がる長閑な山間で、日を浴びた土と下草の匂いがかすかに漂っている。カヤは民家の庭先にあり、斜面に根を広げた
すそ広がりのしっかりとした根元から健康な幹が立ち上がってよく枝葉を茂らせている。江戸末期には既に大木として知られていたそう
で、完全な単幹である事からも樹齢は相当古いものに違いない。ただ樹勢は良く、目だった損傷も無い若々しい樹様で素晴らしい榧だ。
実も多くとれ昭和初期には大阪の市場に出荷し、戦後は実から絞った食用油が食糧難の危機を救ったという。人を守り育ててきた巨樹。
また人にも愛され、その立ち姿はどこと無く誇らしそうにも見えた。
樹を眺めながら田んぼの畦で一服。日が暖かい。カヤのオバサン、いつまでもお元気で。
丸石のカヤ ・・・目通り周囲 4.5m/樹高15.8m(資料値)/高知県、土佐町、溜井