この にそえて ・・・ no.266                           


          

 床鍋河内神社の杉・・・  徳島から高知の中村まで、四国の山間部を縫うように走る国道439号線は通称ヨサクと呼ばれ、景色

   のいいドライブ道として親しまれているようだ。そのほぼ中間部で地蔵寺川に沿う道から対岸に辺りの樹木から一際抜きん出ている立

   派な杉の樹冠が見える。バイカーも各々対岸の梢を見上げながら通り過ぎていく。清流に目を奪われながら橋を渡り木漏れ日の石段を

   上り始めると拝殿の真正面に逆光に照らされた背の高い杉の樹影が現れた。よくある門杉のような二本立ちとは全く違い、まるで参拝

   者の足止めをするような立ち姿で、たまに出くわすと一旦足が竦む。円柱状にスラリと伸びた杉の典型で、根元はカ゜ッシリと土を噛み厚

   く苔むしている。お社側の枝は災害防止の為か高くまで枝を落としているが幹は損傷も無く健康そのもの。何よりも樹高40m級とは思え

   ないほどの、その立ち姿の立派な様は格別だ。枝が少ない分より一層背が高く感じるのだろうか。20年以上も前に初めて杉の大きさ、

   背の高さを意識したのは30mの杉だった。と同時にこれも自分と同じ地球の生き物の一つなんだなと思うと、川沿いの日陰で厚く苔むし

   て立ち続ける大杉の、その表情のような物を突然感じたものだった。

   「大きなおじさん、調子はどうですか?」 これを見て、もう一度50m級の杉にも会いに行ってみたいものだなあと思った。


    床鍋河内神社の杉 ・・・目通り周囲6.8m/樹高35〜40m/高知県、土佐町 、床鍋、河内神社