この 樹 にそえて ・・・ no.265
観音堂の金木犀・・・ 土佐町の東端、四国最大の早明浦ダム近くに、こんな銘木がある事を長い間知らなかった。田井の観
音堂に続く坂道を登っていくと樹齢1200年という金木犀の巨木が見えてくる。1200年。この重みは樹を敬愛し守り続けてきた人た
ちの思いでもあるだろう。一時弱りかけた金木犀は周囲を掘り麦十俵を肥料として埋めたことで樹勢を取り戻したそうだ。観音堂の
石垣の上にすっくと立つ樹影は一見クスノキと見まごう程の大きさ。事実日本でも有数の巨木である事は間違いないだろう。幹は
根元近くから二分岐したような形で、形態から見て過去多少盛り土をされたのかとも思われる。いまだに力強く欠損の少ない見事
な繁茂で樹高も高い。モクセイには黄金色の花が咲くキンモクセイと白い花のギンモクセイ。そして薄い黄色の花が咲くウスギモク
セイという3種類があるという。キンモクセイ、ギンモクセイは中国から入ってきたのが殆ど雄株だけで花は咲くが実はならない。ウ
スギモクセイだけが実をつけるそうだ。有名な三島神社の金木犀はこのウスギモクセイだそうで、学名とは別に広義で「金木犀」と
呼ぶ習慣があるのだろう。この樹は黄金色の花が咲くというのでおそらくキンモクセイではないだろうか。ただこの樹が本当にあの
小さな黄色い花で一面彩られるのかと疑ってしまう程の大きさだ。秋には周囲4キロにわたって芳香を漂わせるという。お堂の脇に
は笠を被った良い顔の石仏が微笑んでいる。秋にまた会いに来たいものだと思った。
観音堂の金木犀 ・・・胸高周囲3.8〜4.2m(2.6)/樹高12.4〜15m(資料値)/高知県、土佐町、中島、観音堂