この にそえて ・・・ no.256                     


        

 土谷三島神社の杉・・・  西条市から松山市へ向かう国道11号線の旧川内町「桜三里」。その名の由来となった江戸期の桜並木は

   現在2本の大木を残すのみとなったが、今も白い花を咲かせるエドヒガンは「源太桜」と呼ばれ地域の宝として大切にされている。杉のある

   三島神社はそこから国道を越えた南側で、本谷に向かう川沿いの道を暫く行くと一瞬目を疑うような光景が突然現れる。大杉の樹冠が他の

   樹木の上に浮かんでいるような錯覚。あれで根元が同じ高さならとんでも無い事だ、と思いながら近づいていくと確かに杉は同じ境内の同じ

   高さに植わっている。樹高45mとは聞いていたがこれほどのものか。印象では50m近いのではとも思った。かつて何本か50mを超えると言わ

   れる杉を見てきたが、この杉もそれらに肉薄するぐらいの印象だ。神橋の架かった小川は水がとても澄んで小魚がたくさん泳いでいる。鳥居

   横の手水はおそらく山水をひいているのだろう。ゴクゴクと飲みたくなるような冷たくて綺麗な水が絶えまなく流れている。社殿は立派なもの

   で境内も足跡を付けるのが憚られる程丹念に掃き清められている。杉は拝殿の横に画然とあり、策も注連縄も無い。損傷の無い単幹の見事

   な樹影で、若干の傾きをもって、高く高く梢を突き上げている。その状態からすればまだまだ成長期。これから更に幹を肥やし、背を高くして

   いずれは四国最大樹高の大杉になるかもしれない。当たり前のようにこんな凄いものが残っていたとは本当に驚いた。


   土谷三島神社の杉 ・・・目通り周囲 6.27 m /樹高 45m/愛媛県、東温市、河之内、土谷・三島神社