この 樹 にそえて ・・・ no.234
氏堂のエドヒガン・・・ またすごい樹があった。数値を見てにわかに信じられないような気持ちだったが行ってみると予想以
上に立派な桜だった。全国的にも有名な県天の「ひょうたん桜」とも遜色の無い量感に富んだ幹。根元辺りはこちらの方が更に力強
いようだ。近年台風の被害で大枝が折れて樹形が乏しくなったのはとても残念だが、いまだこれだけの形を保っている事は本当に
素晴らしい。地元の方は子供の頃幹に開いたウロに入って遊んだと言っていたがそれも50年前で、その頃はまだこれ程大きくなか
ったそうだ。暗いウロの中を覗き込んでみると何本かの竹が生えて?いる。 枝が折れる前は樹冠も立派で春には他の地区からも毎
年花見に来る人がたくさんいたそうだ。「夏には明かりを灯して桜の元で盆踊りをやっていた頃もあったが、今は若いものがみんな出
て行って年寄りばかりで寂しくなった。桜も手入れができずにこんなになってしまって本当に惜しいことだ」近所に住むおばさんが樹を
見上げながらしみじみと語ってくれた。全盛期を知らない者には幹の立派さに驚いているばかりだが、今すぐ樹木医に治療してもらえ
ばもっと元気になってまた多く花をつけてくれるのだろうか。樹齢二百数十年といっていたが、それが本当ならまだまだ成長過渡期で
更に大きくなって新たに枝を伸ばす事もあるのではないだろうか。敷地は下草が刈られ辺りは翠の濃い穏やかでとても美しい所。
綺麗な花を湛えた姿を是非見にこようと思った。
氏堂のエドヒガン ・・・目通り周囲5.9m/樹高20.4m/高知県大豊町大滝・氏堂 ( 町指定天然記念物 )
※数値は嶺北巨木伝説実行委員会編纂の「れいほくネイチャーハントガイドブック巨木を見にいこう」を参考にさせていただきました。