この 樹 にそえて ・・・ no.229
法泉寺のムクノキ・・・ 神功皇后の伝説がまつわる椋の老木。法泉寺の裏に小高い山があり、山上に乙女宮が
鎮座する。皇后が寄港した山を乙女の山。ムクノキは乙女山(おめんとさん)の大椋と呼ばれて長く親しまれてきたそうだ。
今はかなり浜から遠くなっているが、昔はこの辺りまで海岸だったのだろう。
神功皇后(オキナガタラシヒメ)は古代史でも最も謎の多い人物と言われている。最初の女帝であり、三韓征伐を果たした
英雄であり、実在を有力視される皇室の祖でもある。卑弥呼とも同一視されるが、皇室の祖であるなら天照大神とも共通
する存在なのだろうか。後の様々な歴史がその片鱗の一枚一枚を張り合わせて作り上げた巨大な女神という印象もある。
渡海の折に無数の魚が浮かび上がり皇后の船を持ち上げて進んだという話はとても印象深い。
椋は急な石段の脇にあり、灰褐色の幹は単一でかなり大きい。見た目だけでも相当樹齢の高いものだろうと思われる。
大枝の欠損跡から内部の侵食も伺えるが、枝先にはしっかりと新芽を蓄えており、毎年若葉を広げながらこれからも長く
繁栄する事だろう。市指定天然記念物。
法泉寺のムクノキ ・・・目通り周囲5.3m/樹高20m/愛媛県新居浜市垣生4・法泉寺