この にそえて ・・・ no.212                           


       

 笹場の銀杏・・・  国道56号線土佐久礼から久礼港に向かい、海沿いの道を南に行くと、行く先には楠葉が

   まぶしく照る久礼八幡宮が見える。 夫や子供の無事を祈る漁師の奥さん達が、海の安全を頼む漁港の守り神だ。

   久礼湾は背後に窪川台地が控え、松葉川上流から切り出された木材を運び出す商港として栄えたという歴史もあ

   る。 今は「土佐の一本釣り」でも有名になったのカツオ漁の漁師町。 銀杏があるのはここからひとつトンネルを越

   えた海岸縁の、久礼と上ノ加江との境あたり。 昔は境界樹のような役目を果たしていたのかもしれない。 幹は根

   元より2株に分かれ、主幹にはやや損傷がある。 潮風をまともに受けて育ったのだろう、奔放で荒れた枝がくねり

   ながら両翼を広げている。 枝の欠損等で全体はそれ程巨大ではないが、路傍にこれだけの銀杏が残されている

   所はめったにない。 こういうものがあると、この地の印象自体がいっそう豊かなものに感じられる。 樹下には真新

   しい祠が祭られ、これからもずっとここで親しみ尊ばれて、更に繁栄していくことだろう。


笹場の銀杏 目通り周囲 9.2☆6.2m/樹高19m/枝張り17m/高知県中土佐町上ノ加江笹場