この にそえて ・・・ no.203                           


      

 吉田邸裏の楠と椋・・・ 阿波町の東部、吉野川と撫養街道に挟まれた民家の塀際に大きな楠と椋が並んで立っている。

   特に楠は背の高い健康な巨木で、目通り周囲はもうすぐ6mに達する程のものだろう。 しかし驚くのはこの楠が明治44年に

   植えられた、樹齢未だ100年にも満たない程の若い樹だという事である。 幹は合体木でない単一のもので、根上がりや異常

   な膨らみもない正式な主幹の値。 これまで目通りが6m級の楠や杉は樹齢が2〜300年という私感的な目安があったのだけ

   れども、実際にはこれ程開きがあるものなのだろうか。 この中にたった数十本の年輪しかないとは信じられないような話だが、

   この樹は特別に成長が早い物なのかもしれない。 渡辺新一郎さんの「巨樹と樹齢」という本の中に、樹齢1000年といわれる

   千葉県、清澄の大杉(目通り14m)の樹齢が実際には400年余りであるという記述があった。 いかに樹齢の推定が難しいか、

   この楠を見ても本当によくわかる。 以前紹介したように吉野川南岸は巨大な楠が多く、この近くにも東川田の楠や、野郷神社

   の楠などがある。 隣に立つ椋も立派なもので、やはりこの一帯が樹の成長に頗る適した所だという事はいえるだろう。


吉田邸裏の楠 目通り周囲5.54m/樹高25m/枝張り40m

 椋 目通り周囲4.7m/樹高18m/枝張り20m/徳島県阿波町東村・吉田邸裏