この にそえて ・・・ no.14


  

 捨身・・・ ガヤの町に出かけたシーダッタは郊外に生えた菩提樹の下の柔らかい草の上に座り座禅を続

   けた。出家して6年、35才の釈迦がそこで悟りを開いた。釈迦の悟りとはどんなものだったのだろう。法隆寺

   にある玉虫厨子の装飾に、釈迦の前世を描いた「捨身飼虎図」というものがある。崖の上から飢えた虎の親

   子を見た彼がその身を投げて虎に与えるというものだったろうか。 「施し」とは、相手が欲しがっているもので

   はなく自分が一番大切にしているものを先ず与える、というような話を聞いたことがある。 そういう事を人が本

   当にできるのだろうか。 釈迦は、そんな理想に近い様を、一本の樹に求めたのではないだろうか。樹は大方

   の物を、他の者へ投げ与えているような気もするのだけれど・・・   


法泉寺の菩提樹 目通り1.5m/樹高15m/樹齢350年/香川県大野原町大字五郷・法泉寺


(表桜に戻る)