この にそえて ・・・ no.13


  

 

 天狗・・・ 大樹に天狗が棲むと言う話はよく聞かれる。「大同2年(807)頃、正木部落の豪家

   にあった楠に7日7夜火が輝いたので占者に占わせたところ、紀州熊野権現が移られたというので

   篠山の頂上に移して祀った。あるとき篠山の天狗が悪戯をした。当主がこの天狗の翼を弓矢で打ち

   落とすと、難儀した天狗が詫びを入れて翼の返付を乞うた。これを返してやると「お礼に永代当主

   に難儀の無きよう守護します」といって帰って行った。以来当家ではいっさい戸をたてず、今も戸

   たてず権現と呼ばれている」愛媛県の南端、松前町にある大楠の伝承で、後日談には篠山詣での人

   が、泥棒除けのお守りとして当家の敷居を削って持っていくようになり家ではその敷居を毎年新調

   するようになったという。楠は庭に2株あり、鬱蒼と蔦張った様は、今も何者かが棲んでいるよう

   にも思えた。


戸立てず権現の楠 目通り8m/樹高17m/枝張り32m

目通り8.2☆6.2m/樹高15m/枝張り25m/愛媛県一本松町正木権現・蕨岡邸