第2回イスラムメディア会議
The Second International Conference on Islamic Media
2011年12月12日〜12月15日
於:Golden Ballroom, Hotel Sultan Jakarta
 << 1 | 2 >> 

 第2回イスラムメディア会議がジャカルタのホテル・スルタンで開催された。第一回イスラムメディア会議が開催されたのが1978年だったから、とんでもなく長い間メディア会議が開催されてなかったことになる。第1回目が、新聞、雑誌などの伝統的メディアが中心だったことだろうが、今回の会議はウェブサイト、SNSなどが中心となる新しいメディアの問題をテーマとするものである。
 

 12日の開会式に参加はできなかったものの、開会式は次のような人たちがスピーチを行った。
Mr.Suryadharma Ali(インドネシア、宗教担当大臣)
Dr.Abdullah ben Abdulmuhsen Atturki (ムスリムワールドリーグの事務局長)
Prof. Dr. Boediono (インドネシア副大統領)

 13日午前の基調講演として、最初にインドネシアのTifatul Sembiring通信情報大臣がインドネシアにおける通信状況と今後の展望について講演をした。
 次に、パネラー4人が登場してきた。
 それぞれ15分ずつの講演を行なった後、質疑応答を行った。
1、『Characteristic and Treand of the New Media』インドネシア大学コミュニケーション専門のAlwi Dahlan教授
2、『Inact of the Modern Media and the Phenomena of Violence and Moral Decadence on Family and Society』マレーシア、スランゴール通信情報大学学部長 Azmuddin Ibrahim教授
3、『New Media and Social Causes: Challenge and Oportunity』キングアブドルアジズ大学メディア関係の教授・Saud Kateb博士
4、『Renwal of Islamic Media Discourse: Form, Stile and Content』Azhar Arshad博士, マカサルイスラム州立大学。
 その後、たくさんの質問にたいして、4人が回答をしていった。
会場となったGolden Ballroom, Hotel Sultan インドネシアの通信状況と今後の展望について講演するTifatul Sembiring (通信広報大臣)
パネルディスカッションとして登場した4名。それぞれ短時間での講演をしたが、中にはスピーチが長くなった講師もいた。 キング・アブドルアジーズ大学のサウード博士は、SNSの現状と政治、経済、商業への多大な影響力についてアラビア語で詳しく説明した。
 13日午後のセッションは、ブルネイの宗教大臣ムハンマド・ビン・プンギラン博士の基調講演から始まった。
続いて4人の講師が次々と講演をおこなった。
1、『Islamic Discourse and Problems Relating to Self and Others』Farhad Omar, 南アフリカ・イスラムテレビチャンネル代表。講演の中で特に興味深かったのは、南アフリカのiTVのテレビ番組『Muslims got Talent』をビデオで紹介しながら、南アフリカにおけるテレビを通したイスラム教育の成功例を紹介してくれたことである。
2、『The Role of Islamic Media in the globalization Era; between religious princiales and Values of globalization, the challennges and the opotunities 』Andi Faisal Bakti教授、パンチャシラ大学通信学部長。
3、『Muslim media in the Global Media System』Syed Arabi Idid博士(国際イスラム大学Revealed Knowledge and Human Science)。アニメについて触れたところは興味深い。世界的な企業のイラストにイスラム国のものはほとんど発見されない。Bric諸国ががんばっている中、そこにもイスラム諸国は入っていない。もっと積極的に世界に進出すべきである。
4、『Religious Boundaries to the Freedom of Speech: A Dutch Perspective』Sofjan Saury Siregar博士、オランダ、ロッテルダム、イスラーム大学。オランダの言論の自由とは、どういう自由を言ってるのか?またオランダの裁判官の述べた理由などを吟味していった。
グリーンの部分はホテル・スルタンの敷地のようだ。プール、テニスコートなどあってとにかく広い。 ブルネイの宗教大臣ムハンマド・ビン・プンギラン博士。大臣だがアラビア語も英語もバリバリである。
裏方の中でも一番たいへんなのが通訳。今日の講演には英語、インドネシア語、アラビア語の3言語の同時通訳が入っている。 Golden Ballroomとホテル・スルタン。
 12月13日の夜は、歓迎パーティーが主催者により開催されたが、私はそれに欠席して、当初より予定していた『パキスタンから』のホームページの作者であったバットさんと会った。ホームページ作成当初からのホームページ友であった彼女は、パキスタンからインドネシアに移住していた。それに伴い『パキスタンから』のホームページはネットより消えてしまった。こんどは『ジャカルタから』というホームページが誕生するかもしれない。期待している。もう10年来の友であったが、お会いしたのは今日が初めて。ネットの話、イスラムの子女教育の話などを行った。
 12月14日朝食時。食事はそのたびにお話する相手が代わり、参加者たちとの会話は有意義である。今日の食事はジャワとスマトラのあるイスラム団体代表と話をすることができた。マスジド観光の話をして、ちゃっかりとマスジド・イスティクラール訪問の約束を取り付けた。
 食後ははじめてホテルの外を散歩してみた。
ジャカルタ名物朝の通勤ラッシュ そのラッシュの前には整然とした静かな敷地内に今会議の看板がかかっていた。ホテル・スルタンの敷地はとんでもなく広い。
バイクの列に割り込こもうとする高級車。 バイク用抜け道はホテルの塀沿いにあった。
しばらく歩くと、ホテルの裏口に到達。 ホテル正面玄関。閑散としているようだが、実は一般の車や歩行者は入るのが難しい。
 14日午前のセッションが始まった。
 基調講演はスーダンの元通信大臣アリー・シュンマAli Shumma博士が行なった。インターネットの普及により、以前のように情報が制限され欧米からコントロールされた時代は終わり、自由に情報を閲覧することができる。上手に利用すればムスリムにとってこれほど益の大きいものはない。・・・
 例によって4人のパネリストが雛壇に登場し講演が始まった。
1、『Strategic Media within Islamic Organizations』Nasiir Bu Ali博士、UAEのシャルジャ大学通信学部教授。ダアワとメディアの違いから始まり、・・・・宗教関係者とメディア関係者の協力体制が必要であり、またメディア関係者に大学時代にシャリーアの学習をさせていることが重要。
2、『Talking Advantage of Technology Means in Serving Islamic Media』Malik al-Ahmad博士、キング・サウード大学
3、『Developing Communication for Da'wa Strategy: Actuating Prophetic Journalism in Digital Era; Combining Words and Action 』Parni Hadi博士、Replica Radio & Newspaper編集長。
4、『New Media in the Islamic World: the Problems of Culture, Technology and Use』Hemdi Aboelenen博士, エジプト国際大学副学長
スーダンの元通信大臣 アリー・シュンマ氏の基調講演 最前列で会議を見守るAbdullah ben Abdul muhsen Atturki博士 (ムスリムワールドリーグの事務局長)。写真右端
会議室前には、翻訳機を貸し出すデスクと、プリントを配るデスク。 看板

 14日午後のセッションは2時から始まるのだが、先の予定も考えたところ、ここでマスジド・イスティクラールに訪問しないとチャンスがないと考え、欠席した。ちょうど午前の講義の質疑応答の中で、トルコ代表が、わずか3,4日の会議の中でホテルに缶詰になるより、世界最大のムスリム人口を有し、イスラム文化遺産の多いインドネシアのどこかを訪問するというプログラムは無いのか?と言っていた。
 さて、昼食後インドネシア人の参加者と知り合いになり、ジャカルタに住む兄弟が車を出してくれた。だだっ広いジャカルタを移動するのは至難の業である。さらに交通事情の悪く、市の中心部に近いスルタン・ホテルから市の中心部までの距離といっても数キロはあり、どのくらいの所要時間で行き着けるのかも見当がつかない。ズフルの礼拝をしてから出発しようというインドネシア人の意見を振り切って、目的地で礼拝をしたいという私の意見がとおった。
マスジド・イスティクラールの正面 恋焦がれたこのマスジドで礼拝をした。
わ〜 アスルの礼拝に集まってくる人たち
 イスティクラール全貌  ミナレット
 このマスジドにいつまでもいたいのだが、そうもいかず後にした。このあとモナスタワーへの観光が順路だったろうし、他のインドネシア人はそう望んでいただろうが、このマスジドに来るのが唯一最大の目的であった私はホテルに帰ろうと言って、撤収となった。わがままな客人にはしかたがない。
 なお、欠席した時間帯のセッションは次のような内容であった。
基調講演:Azyumardi Azra博士(州立ジャカルタ・イスラム大学大学院教授)
パネリスト講演
1、『Riality of the Islamic Media in the Electronic Web』 Mohammad Gamal Mohamed Arafa氏、(エジプトジャーナリズム協会、イスラムオンラインの発起人の一人)
2、『Media in the Muslim Community in a changing Situation between our first conference and this confrence』Abdul Rahman al-Shobaily博士(サウジアラビア、アシュラ協議会元メンバー)
3、『Review of Pioneering Media Experiences of Islamic Mass Media Among Muslim Minorities』Ali Harrath博士(ロンドン、イスラミックチャンネル編集者)
4、『Successful Satelite Islamic Channels & Websites: A case study』Muhammad Sallam氏、サウジアラビアIqraaチャンネル理事長)

 12月15日最終日である。午前のセッションは、サイド・アラビー・イディド博士の基調講演から始まった。ムスリムのメディアにおける後進の状況の述べ、改善点を考えていった。・・・
 今回のパネリストは3人である。パネリストは最初、学者の理論的な内容が多かったが、徐々に現場のスペシャリストが登場するようになり、説得力を増すと同時に、実質的で面白さを増してきている感じがする。
1、『Islamic Causes as Protected by the International Media』Zafarul Islam Khan博士(Milli Gazette Newspaper編集者)
一部の人によってメディアはコントロールされている。・・・目的は一部の人たちの権利を守り正当化することにあるようだ。・・・・最大の敵はロシアだったが、次はイスラムである。・・・・近年の欧米メディアの対イスラムの具体例。
2、『Fields of Cooperation between Western Media Institutions of their Counterparts the Islamic World: Reality and Expectation』Muhammad Musa博士、(ニュージーランド・カンタベリー通信大学教授)
博士はニュージーランドながらアフリカ系の学者である。
3、『Message of the Islamic Media in Promotion Dialogue』Kamaruddin Hidayat教授、州立イスラム大学、ジャカルタ)
 最終日午前のセッションはこれで終了し、あとは午後の閉会式を待つだけとなった。
最終日のセッションでも会場は満員。 会場外には飲み物と軽食が準備されている。
 << 1 | 2 >>