この にそえて ・・・ no.65                               


             

 八面宮の楠・・・ 中村市の市街の外れに岩崎山がある。 岩崎神社は別称を八面宮というが、今はもう殆ど

   そう呼ばれてはいないようだ。 縁起は古く、天正13年(1585)一条国司の創建である。

   一条氏は、前関白教房公が都落ちしてこの土佐にやってきた事から、地元の民には御所さまと呼ばれた。

   元、殿上の貴族が、都とはかけ離れた片田舎におさまったのだ。そして後年、一条兼房の代になって、戦国の嵐が巻おこり

   長曽我部元親の計略によって、兼房は老臣の手で非業の最期をとげる。八面宮ができたのはそのすぐ後の時期で

   もしかしたら、その出来事に関わりがあるのだろうか。

   急な石段を上ると、境内は社叢によってやや喧噪を離れる。楠は拝殿の斜め前にあり、枝葉も豊かに茂って樹冠は日に

   照り輝いている。 幹も大きく健丈で、樹齢は400年前後とも見受けられる。

   神社創建の時期に植えられたものかもしれない。

 


   八面宮の楠 目通り7m/樹高20m/枝張り20m/高知県中村市岩崎山・岩崎神社