この にそえて ・・・ no.242                           


           

 お薬師さんのケヤキ・・・  ふと走り出すと、県境を越え道を折れ坂道を登り一直線に山上の繁茂を目指していた。そこに樹

   があった。不思議なものだ。それは別に決まった呼称では無く、たまたま地域の案内板にそこがお薬師さんであると書いてあった。

   道より少し上がったお墓の隣に小祠があり、その崖っぷちに斜めに突き出している。根元近くから分岐した幹の大きさ。最近折れた

   のだろう太い枝が道の近くまで垂れ下がってまだ青い葉を蓄えている。樹勢は頗る旺盛とまでは言えないが老木のゴツゴツとした

   古い幹の印象では無い。素直に立ち上がっていれば裾広がりとなった根元は更に巨大なものとなっていただろう。計測は困難で一

   番細い所を計ったが計測点より下にも幹があり、それらを合計するか、あるいは地面に平行に計ると四国最大の峰長瀬の大ケヤキ

   に迫る程の存在なのかもしれない。よくこれだけのものが無名のまま残っていたものだ。この辺りにはまだ更に大きな樹がありそうだ。

   人知れずそっとしておいた方が良いのかもしれない。しかし、この樹は確かに呼んでくれたと思った。

   「すごいなあ・・・たいしたもんだなあ・・・」と言い続けていた。   


   お薬師さんのケヤキ ・・・目通り周囲6.9m(参考値)/樹高20m(目測)/徳島県、三好市、旧井川町、野住・お薬師さん