この にそえて ・・・ no.22


  

 スギ・・・ 日本の山には圧倒的に杉が多い。子供の頃遠くの山を見ると、山肌はおおかたが黒々と萌えた

   杉の葉色だった。当時は、これ程圧倒的に杉や桧の植林が山地を覆っているとは全く知らなかった。巨木で

   も樹種中、杉が一番多い。全国の巨樹調査では目通り3m以上の巨木55,798本のうち

   1位 杉・・・13,681本 2位 欅・・・8,538本 3位 楠・・・5,160本 と際だって数が多い。

   戦時中に「陰樹伐採」という少し不可解な令があった。雑木林をかたっぱしから伐採してしまうという乱暴なも

   ので、少しでも土地を広げて耕地や木材の不足を補おうとしたのだろうか。それにともなって、神社統合という

   う事態にもなってくる。子供の頃に抱いた寂寞とした山のイメージは、あまりにも造り替えられた針葉樹だけの

   不自然な植生であって、そこに点々とでも違う葉色の木々があると気が和む。神社にも多くの樹種が蔓延って

   いる方がより自然に思える。


八幡神社の大杉 目通り9.16m/樹高23m/枝張り28.6m/徳島県木頭村和無田・八幡神社

《 境内に3本並んだ大杉の一つで、根元が癒着した合体木と思われる 》