これらは、矛盾の壁<赤><青>のモノクロ原画と完成したポスタリゼ−ションで
ある。モノクロ原画は、浜松砂丘で撮影した爆発物、炎、閃光など、約千枚のネガか
ら数十枚を選びだし全紙大に引伸し、破りつぎでツナギ写真を作り、制作プロセスの
能率をあげるため、8×10のコマ−シャルフィルム(モノクロ)5点にまとめた。
この8×10のネガから、更に60cm×2mの印画5点をつくり、これを修正し
てツナギを目立たなくしたものを、再度コマ−シャルフィルムで複写して、8×10
のマスタ−ネガを得た。
マスタ−ネガから、ト−ンセパレ−トして、ポスタリゼ−ションへの方法は、裏話
で別に述べるが、これらのカラ−パタ−ンはそれ自体で非常に美しいものになった。
最終の展示写真は予算と展示効果から、一般的な印画プリントはやめ、NECO方
式(日本エンラ−ジング・カラ−株式会社)という新しいシステムを採用し、布(キ
ャンバス)にプリントしたが、味わいのある染料プリントはモダ−ンな壁紙か新しい
抽象画のように見えた。
こうした表現に初めて接した万博関係者は、こんなものを生かした作品を創りたか
ったといった感想をもらしていたが、時すでに遅しである。
< 最長32mの矛盾の壁 >
これらは、リアルな写真をセットする前の展示壁で、高さ約 3m 幅約 1 mの屏
風のようなパネル(キャンバス)赤壁32枚、青壁24枚が、隙間なく並んでいる。
ぼくは西武デパ−トの仕事を11年以上やってきたので、ウインド・ディスプレ−
など、高さ 2m×長さ 10 m位の大型展示用写真もいくつか制作してきたが、これら
の壁写真は1枚の写真としては羽田空港のものよりずっと長かった。
引伸しをしながら、プリントの色調や全体のバランスを見るプレビュ−は、近距離
では仕上がり効果の見当がつきかねて、これらのパネルを長々と地上に並べ、何度も
何度もビルの5階屋上から眺めた。 ぼくの慌ただしい日々はこうして終わった。
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