アンチキルケばか詰入門・第6回

【アンチキルケばか詰入門・第6回】

 昨日に引き続き「アンチキルケばか詰の解き方」です。
 今日はBパターンについて見ていきます。
 ここが大切63906

 アンチキルケばか詰の解法 その2

 昨日もお話しましたがアンチキルケばか詰は大きく分けて2つのパターンがあります。

 Aパターン・・・玉を復活させて詰上げるもの
 Bパターン・・・玉を復活させないで詰上げるもの

 今日はBパターンについてお話します。

 Bパターンを解くポイントは「いかに5一地点を押さえるか」ということに尽きます。
 どう言う事かといいますと、5一を抑えておけば(攻め方の駒を効かせておけば)
 後は、普通のばか詰と同じ感覚で詰めればいいのです。
 なおかつ復活が出来ないと言うことは直打ちの王手の駒を玉が取れないということですので
 ぐんと詰みやすくなります。
 
 参考図

 20051007162650.gif

 参考図を見ていただければ分かりますが、5二歩が5一を抑えていますので
 1九玉は2九金の1手で詰んでしまいます。
 普通の詰上がりより同玉を考えなくていいわけですからぐんと詰ましやすくなります。
 (創る側からいえば余詰みやすいとも言えます)

 ではこれからが解図ポイントです。

 5一の抑え方を考えて見ましょう。

 まず一番多いのが、「先手の持駒を5一に効かしながら王手をかける」パターンです。
 例題1の初手3一飛がそれに当たります。3一飛が5一を抑えながら王手をかける手です。

 例題1 アンチキルケばか詰 3手

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 詰手順は、3一飛 2九玉 1九金 まで これは簡単ですのでいいですね。次にいきます。

 「初形で攻め方の駒が間接的に5一を睨んでいる場合は間にある駒を動かす」

 初形で飛・角・香が遠く5一を睨んでいる場合があります。ただしその間に
 攻め方や玉方の駒があり、現時点では5一を抑えていないが間にある駒が退けば
 5一を抑えることが出来る場合です。

 この場合は、その間の駒を動かすことさえ考えれば解けたも同然です。

 例題2 アンチキルケばか詰 3手

 20051007171104.gif

 初形を見れば9五角が遠く5一を睨んでいますので8四飛を動かせば5一が抑えられる
 事がわかりますね。

 詰手順  8九金 同飛生 9八金 まで

 最初に作品の初形をよ〜く見てみましょう。遠く5一を睨んでいる攻め駒はありませんか?

 たとえば間の駒が攻め方の駒という場合もあります。
 
 次の図は以前宿題で出した北村太路さんの作品

 北村太路 作 アンチキルケばか詰 5手

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 先に間の駒を打ち、次に5一を抑える駒を打ち最後に間の駒を移動して詰まします。

 5一をすぐに抑えたいと思っている心理の裏を付く傑作です。

 詰手順 3三銀 1三玉 2四角 1二玉 2二銀成 まで

 そして5一を抑える手段として

 「攻め方が5一に駒を打つ」

 という離れ業もあります。作品例は少ないですね。
 アンチキルケばか詰補遺1のもずさん作がこれにあたります。

 作品展補遺1 もずさん作 アンチキルケばか詰 5手

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詰手順 2三銀 2四玉 5一角 1三玉 2四銀 迄

 最後に5一を抑えない展開もあります。

 1.桂で詰上げる場合
 2.飛び駒による両王手で詰上げる場合

 このような場合は5一を抑える必要が無いので普通のばか詰と同様です。

 作品を見たらどのようなパターンかをしっかり考えて見るのが解図の近道になります。
 
 しかしまだまだこれらを越える作品が多く眠っているのがアンチキルケばか詰です。
 どんな作品がこれから出てくるのか本当に楽しみです。