アンチキルケ入門・第3回

【アンチキルケ入門編・第3回】

 昨日に引き続きアンチキルケ入門の第3回です。
 今日は、まず玉方の王手の受け方から始めましょう。

 王手の受け方
 
 これは昨日の王手のかけ方とほとんど同じですので一つの図で説明します。

図15

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 この図は先手が2五香と王手をかけた場面です。
 さてここで王手の受け方はいくつかあります。

 1.普通詰将棋と同じく”避ける”→1一玉や1二玉
 2.普通詰将棋と同じく”合駒をする”→2二〜2四に駒を打つ(歩は2歩でダメ)
 3.普通詰将棋と同じく”移動合をする”→2二角

 ではここからアンチキルケ式受け方です。

 4.2九歩成(不成)/2三と(歩)と歩が指し始めの位置に戻ることを利用する。
 5.3七角成(不成)/2二馬(角)と角が指し始めの位置に戻ることを利用する。
 6.3二玉/5一玉と周りの駒をむしり取って脱出する。

 6の受け方の場合3二の歩は3七香のヒモが付いてますので気付きにくいですが
  5一に戻るまでが一手ですので問題ありません。

 アンチキルケばか詰ではこの6の逃げ方がかなり強烈ですので、5一の地点を
 抑えるというのが大きなポイントとなります。

 第2回まで読んでこられた方は、ここまでは問題ないですね。
 問題がある人は手を上げてください〜〜。

 ここまでが基本中の基本の説明でした。少しは慣れていただいたでしょうか?

 では次に合駒について考えてみましょう。

 合駒について

 ではここで昨日の宿題をみてみましょう。

 アンチキルケばか詰 5手

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 たとえばこの図を普通のばか詰感覚で考えてみると、こんな手順が見えますね

 5五角 4四金 同角 2一玉 2二金 まで 

 なるほど詰んだように見えますね。

 しかし先ほど勉強しました6の受け方(2二金をむしり取って5一へ脱走)が効きました(残念63897
 そして浮かびました63904あっそうか2手目合駒を3三にすれば5一を抑えられるぞ!
 
 5五角 3三金 同角成(生) 2一玉 2二金 まで  

 だけど大きな間違いがありますね。(みんな分かってるぞ〜〜)
 3三の金を取った瞬間に8八に戻されてしまいました。63897
 これでは5一を抑えられませんので5手では詰ますことが出来ません。

 正解は「4六角/8八角 3一玉 4二角 2一玉 2二角成」でした。

 5一の地点を3手目4二角で抑えるのがポイントです。ちなみに2四歩がないと
 2手目1三玉と逃げて2四角、1二玉、2二角成までの詰みがあります。
 この場合は、2四角が5一を抑えています。

 冬眠蛙さんの案(4六角→金にして玉方4二歩を置く)は5一を抑えるのに
 金をうまく使っていますね。

 話を戻しますが、アンチキルケにおける合駒というのは普通の感覚とはちょっと違うのです。

 普通詰将棋の場合:飛び駒で王手→合駒→取る=再び王手 ですが

 アンチキルケの場合:飛び駒で王手→合駒→取る(王手でない事がほとんど)

 という感じです。但し復活先に駒がある場合は普通詰将棋の場合と同様になります。
 その場合はアンチキルケらしさはないですね。ただそれにアンチキルケらしさを
 挿入したら又いい味の作品になります。次図はもずさん作の好作です。

 <復活先に駒がありすんなり合駒が取れる例題> もず作 アンチキルケばか詰 5手

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 アンチキルケで再び王手になるケースは、
 
 ・1,9筋での香での王手
 ・2筋、8段での飛車の王手
 ・1一〜9九のラインでの角の王手

 に限られますね。(え〜っと漏れは無いかな?)

 ちょっと余談ですが、図16を見て下さい。

図16

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 8八角と王手をした場面ですが、たとえばこれがかしこのアンチキルケだとすれば、
 玉方がどこに合駒をしても取られて角が8八に戻り王手になるだけですから、
 合駒は無駄合いとなり、これで詰上がりということになりますね。

 話を戻します。
 じゃあアンチキルケでは合駒を取るケースは余り無いのかといいますと、
 ちょっと特殊な形で取る方法があります。(図17)

 飛び駒で王手→合駒→最初王手した駒以外の駒で取る(=再び王手)

 図17

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 (例題としてのセンスが無いのは置いといて下さい)

 この図は アンチキルケばか詰の5手詰ですが、まず初手2七香とします(これしかない)
 次に玉方は2六金と合駒をしますが、同香とは取れませんね。取った瞬間、香は1九へ戻されますので王手ではなくなります。特殊な方法とは最初に王手をした駒以外の駒(ここでは3八桂)で取ることです。3八の桂が2六の金を取った瞬間2九へ戻されて、再び2七香の利きが玉に届くことになります。この手筋は良く出てきますので覚えておきましょう。この図の正解は「2六香 2六金 同桂/2九桂 1六玉 2六金」でした。

 私が思うにこのように合駒がすんなり取れないということがアンチキルケの一つの大きな特徴ではないかと思います。

 さてここで宿題ですが、私の苦しみが以心伝心したのか、北村さんからどうぞ使ってくださいと
 何作か送っていただきました。(ありがとうございます〜感謝)
 その中の5手詰で私が5分以上も考えた一作を出すことにしましょう。
 これが5分以内で解ければ、私より実力者ですから、この入門編の続きはお願いするかもしれませんよ(笑)

 宿題 北村太路 作 アンチキルケばか詰 5手

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