「踊る大捜査線 THE LAST TV」感想

●サラリーマン刑事と最後の難事件

今年完結をむかえる映画「踊る大捜査線THE FINAL」に先がけて、誰もが感動したあの心踊るドラマが最後にスペシャルドラマとなって
帰ってきた。タイトルの「サラリーマン刑事と最後の難事件」は、踊る〜の始まりである連ドラ第1話のタイトル「サラリーマン刑事と最初
の難事件」と対置させているところからも、ラストでありながら皆に愛されたTVドラマシリーズに再び立ち返り、おごりを捨てて真摯に作
品作りに取り組もうとする静かな意気込みが伝わってくる。LAST TVの放送前に過去のTVドラマシリーズの再放送もあったのだが、し
っかりと録画をして鑑賞しハマってしまったというさほど踊る〜に精通していない友人も「ラストテレビ面白かったね♪」と連絡をくれた。

さて、ここからは精通しているほどでもないが無知というわけでもない私の感想なのだが、私自身は警察もののドラマや映画が苦手で
ある。物騒な上、同じようなことをやっている感が否めず飽き飽きしているというのが1番の原因ではないかと推測するのだが、そんな
私が面白い!と思えたのが踊る大捜査線だ。使い古した感じが全くなく、無駄のない脚本に関心をもち感心して歓心を得るという脚本
の妙に魅せられたものだ。今回のドラマもそうだが、そのクオリティがだんだん下がってきたように思うのは、決して君塚さんのネタが
尽きたわけではなく、やりたい仕事やテーマのアイデアがありすぎて踊る1本にその全てを費やす事が難しくなられたからだろう。役者
が色々な役を演じたいように脚本家が新たなキャラクターを動かしたいと思う向上心を誰にも責めることはできない。その部分で私に
とって脚本力によるところが50%を占めていて、30%がキャラクターの魅力、20%が他モロモロでできていると思っている踊る大捜
査線の脚本力が20%〜30%ダウンした印象が強い。キャラクターの魅力も和久さんがいないということを鑑みても20%止まりだ。
すみれさんファンである私としては、今回元気に食の話ばかりしているすみれさんではなく、職について真剣に考えているすみれさん
であったことは大変嬉しかったのだが、すみれさんの穴を埋めるだけのキャラクターが育っていなかったことも残念だった。ストーリ
ーはドラマということもあり、お遊び要素をふんだんに取り入れ究極の笑いを追求したつくりになっているが、お遊びが多すぎて単なる
スチャラカドラマになってしまった点は若干無念である。何事にも配分というものは必要で、キリッとしたストーリーの中にふっと笑え
るシーンがあるから楽しいのであって、むやみにオトボケだらけだとさすがに辛い。多用した割に1つ1つの笑いのクオリティが低かっ
たこともヤリスギ感に拍車をかける結果となってしまった。またリアリティと脚色の絶妙さが踊る〜の魅力でもあるのだが、ファンにと
ってハズせないそのこだわり部分を全面脚色化によって打ち砕きガッカリさせてしまった点も往年のドラマとは少々様相が違った。

作品には、誰もがハマる部分・ハマらない部分があるものだ。上記は私がハマらなかった部分を書いたが、ここからはハマったシー
ンや良いなと思ったところを記してみたいと思う。映画もそうなのだが、いつも冒頭の掴みのシーンが素晴らしい。今回も交通安全教
室という小さな日常がドンドン小さな喜劇になり大きな惨劇になるという過激な演出に刺激をうけた。オープニング映像はいつにも増
してカッコよくメタリック感を出し、ラストドラマなんだ・・・という特別感をくれる。シリーズを通してだが、今回も例にもれず小ネタがギ
ッシリ。何よりもこれだけの笑いをこれでもかっ!というほど詰め込んで下さった編集力の素晴らしさに拍手を捧げたい。資料を見な
がら歩いている青島さんが飛来物を瞬時によけるなど何気ないシーンだが何気に本広監督の演出力も光っている。それをサラリと
演じている織田さんも流石。そして最近やたら甲本さんが面白いと感じ、緒方さんの演技がツボに入ってしまう(笑)。しかし、1番は
我らが(←私の好きな)すみれさんで、少ない出番でありながら一言一言のインパクトが半端ない。特に好きな台詞が「アレ?」「早く
もプレッシャーが」「関係ないしバッカじゃないの」「眠らされて一生オヤスミナサイだったね・・・フフフ・・・フフフ・・・」全部違うすみれさ
んだ。微妙に言い方を工夫しているところもお洒落。やはりすみれさんには敵わない・・・少なくとも私は。織田さんは若干力が入っ
ていたように思うが、力を入れるなと言う方が無理な話で、そのあたりからコメディ部よりはラスト近くのシリアス部の方が存分に力を
発揮できていただろう。最後、お芝居をしていたと思わせる青島さんの機転も素敵だった。どうしても感想が青島さんやすみれさん
よりになってしまうのは、往年のキャラが登場すると安心感に包まれるからだ。すでに愛着や情が芽生えている・・・そんなユーザー
の期待度も高く平均視聴率は21.3%最高視聴率は23.3%をたたき出した!織田さんの成し遂げてきたものの大きさを実感するとと
もに1ヶ月前のエピソードを見終わった今、残すはファイナルへの期待のみ!故・小林すすむさん=中西さんの出番も多く、笑顔の
眩しい小林さん・・・上司の謀の間で揺れ動く小林さん・・・手の震えを必死に止める小林さん・・・緊張のあまりぶっ倒れる小林さん・・・
沢山の動く小林さんが見られて嬉しかった。踊ると一緒に人生にも終止符をうった小林さん、きっと誰もの心に生き続ける大切な存
在となっているはず。そしてラブサムバディが流れてくると何とも言えずたまらない高揚感があふれてとまらない。最後に映し出され
たオフショットのような織田さんの笑顔。あんな風にファイナルで笑えるように・・・喜びあえるように・・・・・・もう忘れ物はないですか?