Voice
Written by ななしまくみ様
気持ちのよい朝だった。
金色の朝日が白いレースのカーテンを優しく透過して寝室を照らす・・・・
ベッドから抜け出すと、いつものようにまず、ドレッサーへと向かう・・・
普通のドレッサーよりはかなり大きな鏡に自分の姿を映し出し、もう一人の自分にいつもの挨拶をしようとする・・・
『モーニン☆今朝も綺麗なわ・た・し・・・』
・・・と、言ったつもりだった・・・
鏡の中の自分の顔からさっと血の気が引いていくのがわかった。
『え・・・?!・・・・・こ・・・声が出ない・・・?』
ガシャン・・・
動揺したはずみに鏡の前の化粧瓶を1本倒してしまった・・・
音はちゃんと聞こえる・・・だから、やはりわたしの声が出ないのだとわかる・・・
喉のところにそっと両手を当ててみる・・・全然痛くも何ともない・・・
体調だってすこぶる快調。風邪ひいたから声が出ない・・・といったわけでもなさそうだ。なのに・・・何故?
もう1度鏡に向かって声を発してみようと試みる・・・今1番気になる女の子の名前・・・
「・・・・・・・・・」
・・・しかし、口だけが鯉のようにぱくぱく動いただけで、まったく音が出ない・・・
まるで魔法か何かによって声だけ奪われてしまったかのようだった・・・
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呼び鈴で、いつも身近な世話をしてくれる「召使い」2人を呼びつける・・・
主人より早く起きている彼らはもうしっかり身支度も整い、トレードマークのピエロ風のメイクもばっちり決まっている。
その彼らに、声が出ないことを紙に書いて説明する・・・
いたずら好きな主人の、新手の遊びかと、なかなか信じてくれない・・・
「それでは、今日の執務はお休みされるのですか?」
「きょうは、会議が・・・」
「確か、前回も、その前もエステに通うためにお休みされましたよね・・・
今日も休まれるとなると・・・そろそろジュリアス様からの個別なお呼び出しも必至・・・」
・・・この使用人達は、明らかに主人の不幸で遊んでいるように感じられる・・・
・・・主人が主人なら・・・ということなのだろうが・・・
しかし・・・ジュリアスに個別に呼び出されでもしたら・・・・・
それだけは、死んでもいや・・・・
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なるべく人目を避け、いつもよりかなり早い時間に聖殿へと向かう・・・・
前庭の向こう側にリュミエールを発見した・・・
向こうもこちらに気がついたようで、軽く会釈してきた・・・
やばい・・・・無理矢理顔に微笑みを浮かべ、ひらひらと手を振って、逃げるように執務室に駆け込む・・・
『セーフ?』
扉に中から鍵なんかかけたりする・・・動悸と冷や汗がとまらない・・・
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コンコン☆
やっと人心地ついたところに、誰かが訪ねてきたらしい・・・
まだ、執務開始前の時刻なのに、今日に限って何故・・・?
内鍵かけていたことを思いだし、居留守を決め込む・・・
「おはようございますー!オリヴィエ様・・・あれ・・・?お留守ですか?
せっかく育成のお願いにきたのに・・・さっき、姿をお見かけしたような気がしたのは見間違いだったのかしら・・・?」
栗色の髪の女王候補アンジェリーク・コレットの声だった・・・
『許してねアンジェちゃん・・・あとでこっそり夢のサクリア贈っとくから・・・』
両手を組んで天を仰ぐ・・・
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会議にはわざと開始ぎりぎり1分前に、集いの間に滑り込む。
すでに全員が揃っていた。(珍しいことにクラヴィスもゼフェルも・・・)
ジュリアスがじろりと睨む・・・
おお怖っ・・・5分前励行だったっけ?
とりあえず黙礼して席に着く・・・
「では、皆揃ったので始めることとしよう」
・・・・ジュリアスが淡々と報告やら予定やらを読み上げていく・・・
審議など必要のないつまらないいつもの風景だった・・・
(助かったけど・・・)
誰も何も口を挟まず、朗々とジュリアスの声だけが響いていく・・・
それが良かったのか、悪かったのか・・・・
「・・・・ZZZ・・・」
見る見るジュリアスの額に青筋が浮かび上がる・・・やっばい〜と思った瞬間・・・
「クラヴィス、貴様・・・!大事な会議を何だと心得る・・・・!」
あ〜あ、やっちゃたわ〜☆
オスカーがジュリアスをなだめ、リュミエールはクラヴィスを揺り起こす・・・
どさくさに紛れゼフェルは部屋を飛び出し、ランディはそれを追いかけ、ルヴァとマルセルはそれを見ておろおろ・・・
まぁ・・・いつもの光景と言えば・・・・言えなくもないわけだけど・・・
今回ばかりは、わたしもどさくさに紛れてサヨナラする・・・・・
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とにかくこれ以上人目に付くのはたまらないから、執務室に戻らずに私邸へと目指すことにした。
公園を突っ切るのが近道・・・なるべく人目を避けて・・・
こんな日に限って、もうこんな時間からチャーリーが店を開いていた・・・
チャーリーから隠れるように茂みに飛び込もうとする・・・
「あ・・・オリヴィエ様!」
こんな日に限って・・・運が悪い・・・・ダッシュ逃げっ・・・
9cmのピンヒールだって結構速く走る自信はある・・・・
が・・・何故かこんな日に限ってチャーリーは執念深く追いかけてくる・・・
何か借金していたっけ???
「・・・オ〜リ〜ヴィ〜エ〜さ〜ま〜」
ぎゃ〜っやめて〜
ひたすら逃げる・・・
「何で逃げるんです〜〜〜はぁはぁ・・・・」
何でと言われても逃げるっきゃない・・・彼が追いかけるのをあきらめるまで・・・
声が出ないことが彼にばれたら・・・弱みなんか握られたら、今度から商品を値切れなくなる・・・
「オリヴィエ様〜・・・・声が・・・」
『え?!』
思わず足を止める・・・
「声が出んとちゃいまっか?」
『・・・チャーリー・・・知ってる?』
「あ〜やっぱり〜〜〜そうでしょう、そうでしょう・・・」
チャーリーは得意げである・・・・気に入らないな〜
「治す方法知ってまっせ」
『ま、まじ?!』
「毎度!」
憎らしいほど爽やかな笑顔で彼はそう答えた・・・
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「はい、じゃぁ目ぇつむってください・・・」
半信半疑でチャーリーに従う・・・
「わてが3〜2〜1・・・と数えて手をパンっと一回たたいたら、オリヴィエ様の声が出るようになりますからね〜
・・・でもって・・・もごもごもご・・・」
『???』
本当にそんなので声が出るようになるわけ〜?
「じゃ、本番いきまっせ〜!
3〜2〜1・・・」
パ〜ン!
「あ・・・・?!出た・・・声・・・わたしの声・・・」
じ〜ん・・・・感動の瞬間だった・・・・・
が・・・その時同時に頭の中で何かがはじけた・・・
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チャーリーはわたしの声が出たのを確かめると、何故かそそくさと立ち去ろうとしていた・・・それもそのはず・・・
「チャーリー・・・声が出るようにしてくれたのはあんただけど、出ないようにしたのもあんたじゃないか!」
「オ・・・オリヴィエ様・・・もしかして思い出さんでもいいことまで、思い出さはったんですな〜?」
そう言いつつチャーリーはじりじりと後ずさりの体勢だった・・・
「声が出なくなる催眠術をわざわざわたしにかけたのはあんたじゃない〜?!」
「で、でも・・・イヤリング値切る代わりに催眠術の実験台になってもいいって言わはったのはオリヴィエ様やおまへんか〜
しかも『どうせかかんないからいいわよ』って・・・」
ぷちっ・・・血管の切れる音である・・・
「うるさい〜〜〜!声が出なくなったおかげで寿命が3年は縮まったわよ!
おかげで化粧のノリも悪くなっちゃったし・・・いったいどうしてくれるのよっ!」
「・・・・・」
わたしのあんまりの迫力にだじろぐチャーリー・・・
「そうね〜迷惑料代わりに、昨日のイヤリングとお揃いのネックレスをタダでくれたら、許してあげてもいいわよ〜☆」
「え〜〜〜?!そんな殺生な〜〜〜それだけはご勘弁を〜〜〜〜!」
END
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作者よりメッセージ
5/5の子安さんの誕生日をお祝いして声が出なかったら大変・・・という創作でした・・・
超駄作ごめんなさい・・・
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| すごい!オリヴィエ様の声が出なかったら・・・という「もしもシリーズ」! 人魚姫のお話もとても切ないですが、ななさんのお話も喜劇タッチでありながらも 美しいオリヴィエ様の声に焦点を合わせ、切なくも色っぽく盛り上げて下さってます♪ まさに題材的に、子安さんのBDにピッタリな作品だな〜って心より感心&尊敬致しましたm(__)m オリヴィエ様の声が子安さんでなければ・・・ 子安さんがオリヴィエ様の声をあてていなければ・・・ そんなことを考えさせる小説でした★ 声が出てよかった〜(*^-^*)そしてその声の主が子安武人さんで本当に幸せです♪ ★ーHAPPY BIRTHDAY コヤスさんー★ 素敵な作品を提供下さってありがとうございました・ななさん!!お疲れ様でした!! |
| この小説は、←こちらのサイト様からいただきました♪ オリヴィエ様応援サイトですので、是非足をお運び下さいませm(__)m |