富山パキスタン人に対する嫌がらせ事件その4
2001年5月24日(水)以降の各紙の報道
中古車販売パキスタン人店長被害届提出へ
25日には東京で全国集会
 小杉町の中古車販売店前で、イスラム教の聖典「コーラン」が破り捨てられているのが見つかった事件で、パキスタン人店長は「集会場から盗まれたものだった」として、近く小杉署に被害届を提出する。

 今週末には東京都内の「モスク(イスラム寺院)」で行われる定期的な礼拝に、全国からイスラム教徒が集まるとみられ、波紋が広がっている。

 中古車販売店「ゴンダル コーポレーション」のイムティアーズ・アーメド・ゴンダル店長(37)によると、破棄されたコーランは、今月初めまで集会場として使っていた小杉町稲積のプレハブ小屋に置かれていたという。
 
 集会場は約20平方メートルで、毎週金曜日に県内のイスラム教徒が祈りをささげていた。

 コーランやイスラム教の開祖マホメットの言行録「ハディース」など約30冊が備えてあったが、3月末にコーラン6冊と、ハディース12冊が盗まれたという。

 集会場は普段からカギが掛けられていなかった。現在は、新湊市殿村の元コンビニエンスストアの建物をそのまま新しい集会所にしたため、プレハブ小屋は取り壊されている。

 富山新港などに近い国道8号沿いに中古車販売の店舗が出始めたのは、90年代初め。店舗は年々増えて現在、小杉町を中心に約20店が営業しており、パキスタン人の経営者も多いという。

 昨年からは、政治団体の街頭宣伝活動が急増しており、店舗側とのトラブルも起きていた。

 コーランが破棄されているのが見つかった21日は、ゴンダル店長のパキスタン人仲間が、イスラム教関係のホームページに事件発生の一報を送ったという。その後、同店などに、教徒たちから問い合わせが相次ぎ、口コミで話が広がっていったらしい。

 パキスタン大使館(東京)は23日までに、外務省に経過とパキスタン人たちの心情を伝えた。

 また、25日には全国のイスラム教徒が、東京都渋谷区内にある礼拝所に集まる予定という。ゴンダル店長は「参加して事件の経緯を報告したい」と話している。
北日本新聞5月25日
コーラン破棄事件で小杉署に被害届提出
 小杉町白石の中古車販売店前の国道8号歩道に二十一日、イスラム教の聖典「コーラン」が破り捨てられていた事件で、パキスタン人のイムティアーズ・アーメド・ゴンダル店長(37)が二十四日、破られたコーランは盗まれたものだとして小杉署に被害届を出した。
 ゴンダルさんによると、破られたコーランは、今月初めまで県内のイスラム教徒が礼拝用に使っていた小杉町稲積のプレハブ小屋に置いてあった。小屋にはコーランのほかイスラム教の開祖マホメットの言葉を記した「ハディース」など合わせて約三十冊があったが、コーラン六冊とハディース十二冊が盗まれた。四月二日、ゴンダルさんの友人が礼拝に行った時に気づいたという。
 ゴンダルさんは「聖典を破られた悔しさはいえない。警察の今後の捜査に期待したい」と話している。
 ゴンダルさんら県内のイスラム教徒は二十五日午後一時から、東京都内の礼拝所で開かれる集会に参加し、全国から集まる在日のイスラム教徒に今回の事件を報告する。
北陸中日新聞5月25日から

だれが、なぜ 深まるなぞ
小杉のコーラン破棄 パキスタン人標的?
 富山県小杉町の国道にイスラム教の聖典「コーラン」が破り捨てられ、教徒が県庁などへ抗議した事件は、きょう二十五日、東京都内でさらに大規模な集会も予定され、事態悪化の恐れも出てきた。警察も窃盗などの疑いで捜査に乗り出したが、一体だれが、何の目的で捨てたのかは不明だ。不可解な事件のなぞを追った。
 コーランが破棄されていた小杉町から新湊市にかけての国道8号沿いには、ロシア語の看板も林立する中古車販売店が数十軒集中、日本国内とは思えない独特の光景だ。経営者の多くはパキスタン人と言われ、富山県内へ入港するロシア人向けに商売をしている。
 付近に設けられたプレハブ造りの礼拝所(モスク)には毎金曜日、五十人とも百人とも言われる県内のイスラム教徒らが礼拝に集まる。
 破棄現場と目と鼻の先で中古車販売店を経営するイムティアーズ・ゴンダルさん(37)によるとことし三月に、このモスクからコーランが紛失した。
 「コーランは千四百年も伝わる神からのメッセージ。まさに信仰そのもの」と語るのはイスラム教宗教団体・日本ムスリム協会の樋口美作会長。それが破り捨てられたのは「神への冒とく」と教徒の目には映ったのだ。
 では、だれの仕業か? 現場では破棄されたコーランに交じって東京・西新宿の教会名でイスラム教徒への脅迫とも取れる意味不明のチラシが複数発見された。教会の電話は不通で実態は不明。
 別の見方もある。ゴンダルさんらは昨年から一帯で「外国人は出ていけ」などと街宣を繰り返す政治団体の名を挙げる。富山県警によると昨年八月、同国道沿いにパキスタン人らの車両運搬車が止めてあったため、政治団体の街宣車が通れずトラブルに。以来、街宣を続け、度々問題が起きている。先月には街宣中の政治団体構成員がパキスタン人の車の窓ガラスを割り、逮捕される事件もあった。
 「街宣のたびに警察に取り締まりを要請したが何もしてくれなかった」とゴンダルさん。二十二日の抗議では街宣活動の取り締まり強化も求めた。
 が、地元住民の間には冷ややかな声も。とりわけ車両運搬車の路上駐車には批判が強い。「四月には死亡事故も起きた。パキスタン人はルールを守ってほしい」と日本人中古車販売業者。別の住民も「無謀な運転で事故があったりもした。政治団体が街宣した時は『心の中で思っていることを言ってくれた』と感じた」と話す。
 県警は窃盗か器物損壊の疑いも視野に入れて捜査中だが、国際問題も絡むだけに慎重だ。
 文化人類学が専門の金沢大学文学部の鏡味治也助教授は、外国人の問題はイスラム教徒に限らず文化の違いから地元住民と摩擦が起きやすい側面を強調しつつ「普通に信者が礼拝しているだけなら、決して問題は起きないはず…」と別の引き金の存在を指摘している。

読売新聞富山版 5月24日
コーラン破り捨て問題で、あす東京で集会
 小杉町にあるパキスタン人男性経営の中古車販売店前路上にイスラム教の聖典「コーラン」が破り捨てられたとして、県内外のイスラム教徒約三百人が小杉署や県警本部、県庁に押しかけ、捜査の徹底と嫌がらせ防止策を要請した問題で、在日パキスタン協会などは二十三日、東京・代々木上原のモスクであす二十五日に緊急集会を開くことを決めた。

 同協会によると、集会には、パキスタン人を始め、イランやイラク、トルコなどのイスラム教国出身者ら約四百人が参加を予定。警察や県職員とのやりとりなどを報告し、今後どのような行動をとるかを話し合うという。

 ライース・スィディキ同協会長は、「富山での要請行動に参加できなかったイスラム教徒も多く出席するので、彼らの意見も聞きながら、今後の対策を検討したい」と話している。

BBC 5/23
Japan investigates Koran desecration
The police in the north-western Japanese prefecture of Toyama say they are investigating a number of anti-Muslim incidents including the alleged theft and destruction of a copy of the Koran -- an incident which has angered Pakistanis living in Japan.
The Muslim holy book was found damaged with pages torn out, outside a Pakistani-owned car dealership, along with derogatory leaflets slandering Muslims.
The Pakistani embassy has appealed for the arrest of anyone involved in the desecration of the Koran, which was allegedly stolen from a meeting-palce in a nearby town where local Muslims gather to pray. Police are examining whether there is a connection with a group of right-wing extremists, who last month drove vehicles rigged with loudspeakers through the streets of Toyama demanding that Pakistanis leave town.・・・From the newsroom of the BBC World Service