アッサラームアライクム。漫画『ジョジョの奇妙な冒険』への批判について、“ジョジョ立ち(『ジョジョ…』で登場する人物達の印象的なポーズを真似ること)”を始めるなど、最近の『ジョジョ…』ブームの火付け役となった、カジポン・マルコ・残月さんの見解を転載いたします。この方はムスリムではないので、ムスリムの皆さんにとってひっかかる内容もあると思いますが、純粋に『ジョジョ…』を愛してきた日本人の叫びとして、その真意を汲み取ってください。私も、この方と出会って10年近くになり、数年間この方の『ジョジョ・・・』に対する愛情を見続けてきました。日本、ムスリム社会でこの問題が適切に対処されますようお助け下さい。なお、この文面は、メーリングリスト等でも送信いたしております。すでにお読みの方には申し訳ございません。
(以下、転載文(長文・新着順)〜『残月徒然日記 http://kajipon.com 』より)
5月23日…報道によると昨日のジョジョの件で、政府・外務報道官の談話が出た模様(外務省HP)。「日本政府は、不注意とはいえ、同アニメの一部内容により、イスラム教徒の感情が傷つけられたことは遺憾と考える」との内容だ。そして今後の方針として「異なる宗教や文化への理解と敬意を育み」、再発防止に努めるとしている。今日、新たに集英社とアニメ会社はアラビア語の謝罪文を発表したし(丁寧な対応!)、政府が迅速に動いて遺憾表明をしたことで、これで幕引きになることを心から祈りたい。ただ、不安なのは、政府が出てきたことでさらに騒動が大きくなる恐れもあること。しばらくは予断を許さない状況だ。/昨日からの報道を見ていて、本当に政府やマスコミにお願いしたいんだけど、原作にはコーランが登場しないことに、必ず触れて欲しい!今回の外務報道官の談話もそこが抜けている。あくまでもアニメ版のオリジナル・カットなのに、この談話だけを読むと、荒木先生がミスをしたと短絡的に誤解する人を生みかねない。むしろ被害者なのに…。21年もジョジョを連載して、通巻95冊まで刊行して、ずっと人間賛歌を描き続けてきたのに、こんな仕打ちを受けるなんて酷すぎる。もっと慎重に、ガッチリと先生を守って欲しい。ほんと頼みます。/今春に刊行されたジョジョ第6部の文庫本1巻に、先生がこんな後書きを書かれていた。今回の騒動にも当てはまることなので一部を紹介したい。--『「普段は別にどうでもいいと思っているのに、何か急にある時期がやってくると、同じ物事に対して「やっぱりおかしい!」と妙に怒りがわいてくる。「怒(ど)の季節」というのが自分の中にあるんだけど、「怒の季節」に対して「攻撃される季節」というのもある。(略。車の通行がない時間帯でも信号を守ってる話を最近ある場で軽くしたら)「今時そんなヤツいないだろッ!」とか「ムカつく、いい子ブってんじゃあないの!?」だの「目撃されて2chで書かれるからだろ偽善者!」とまで非難の集中砲火をあび始めた。やばい。「攻撃される季節」がやって来た。間違った事をしたり言ったりで攻撃されるのはしょうがないってのがあるが、何もしてないのに。ていうか信号さえ渡ってもいない。これが「攻撃される季節」。なぜか訳が分からず攻撃されてしまうのだ。こういう時期が訪れた時は、反撃なんかしようものなら、ますます攻撃されて痛めつけられてしまうので、ひたすら季節が終わるのを、花粉症の人が花粉が飛ばなくなるのを耐えしのぶように待つしか方法はない。この季節は「反撃する事は最大の防御には“ならない”のだ」』。--僕は胸を締め付けられた。
5月22日…今日報道された「ジョジョの悪役がコーランを読み中東で非難を受ける」のニュース(産経、日刊スポ)。情報が錯綜しているので、取急ぎの感想を書きます。→荒木先生は原作にコーランなんて書いておらず、問題のシーンはアニメ会社が勝手に入れたカットなのに、とばっちりもいいところ。僕が心配なのは、イスラム教徒の間で「荒木先生が書いた」と、間違った情報が一人歩きしてしまうこと。“原作にあるかないか”まで、感情的になっている人に考えてもらうにはどうすればいいか。ファンが無闇に騒ぎ立てると騒動が長引いて逆効果になるけど、コーラン絡みのトラブルは対応を間違えると大変なことになるので、黙って嵐が収まるのを待つのは危険。僕が思う今すべきことは2つ。(1)即刻、集英社の幹部が通訳を連れて記事にある最高権威機関アズハルのアトラシュ師のもとへ飛び、誠心誠意を込めて悪意がないことを説明。そこまでする理由は、一度ネットにあがったものは何度でも出回るので、アズハルを味方につけないと延々と叩かれるからだ。文化的理解が足りなかったことを心を込めて詫び、既に出荷を止めて改善の手を打ったことを伝え、アズハルから自制を呼びかけてもらう。サイトに謝罪声明を書くだけではだめだ。(2)その謝罪声明も日本語・英語だけじゃ意味なし。ここでアラビア語も用意することが誠実なメッセージになる。大袈裟じゃない。かつて翻訳家にジハードが発動した筑波大の事件もあり、コーランに関してはいくら慎重になってもなりすぎることはない。イスラム教徒は911以降、自分達が悪く書かれることに神経過敏になっているので、“他意のないミス”と分かってもらえるよう、やれることは全てやるべき。集英社には全力で先生を守って欲しい。後手に回るとさらにイスラム社会へネットで広がり、負の感情が増大してしまう。/NHKのニュースで“ジョジョ第3部(12〜28巻)&DVD6巻出荷停止”とのこと。DVDはわかるけど、なぜ20年前の単行本が?モスクの描写が原因?27巻で花京院のハイエロファントがDIOを攻撃しようとして、モスクの塔にE・スプラッシュが命中&破壊している。でも花京院はモスクを狙った訳じゃなく、あくまで流れ弾なのに…。そこがNGなら27巻だけ出荷停止にすべきと思う。3部丸ごとには賛成できない(それこそ過剰反応)。っていうか、第12巻は9割が第2部のクライマックスだし、カーズとの決着があるので出荷しようよ。なんという巻き込まれ方。まさに「やれやれだぜ」といった状況。※集英社&アニメ会社合同の謝罪文が出ましたね。※荒木先生はイスラムに悪意を持ってないばかりか、6部なんて敵のボスが「神父」だし、7部ではイエスのミイラをバラバラにしてるんだけどね(汗)。3部でもエジプト人ムスリムのアヴドゥルは主人公を助けてくれる味方だ。DIOはコーランを読んだから悪党になったのではなく、100年前のロンドン時代からずっと邪悪だった(同時に、正義の味方ジョルノの父でもある)。/今回は改めてインターネットの怖さを感じた。前後の文脈が無視されて、センセーショナルな部分だけが流れてしまう。ジョジョのアニメは中東で発売されたものではなく、海賊版の違法コピー。まさか販売していない国に、ネットから広がるとは、ほんの10年前まで考えられないことだった。
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