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タイトル熱中症対策はどうするの?
記事No3098
投稿日: 2010/08/17(Tue) 18:34
投稿者多神教
猛暑日が続いて死者や救急車で搬送される人が増えています。
熱中症対策として「こまめな水分補給」というのが簡単かつ
有用であるのが広く知られております。

ですが、ラマダンの間は日中はいかなる食事も禁止ですよね。
仮に熱中症になった場合、命と教義はどちらが優先されるの
ですか?また、第三者が善意から水分を提供した場合は拒否
するものなのでしょうか?

イスラムに疎い一般人に教えてもらえたらと思います。


このニュースを見たのが切欠です。
練習中に水分補給を求めたのが事の発端だとか。
--------------ここから引用--------------
イランサッカーのスター選手、断食怠りチームを解雇
8月17日15時15分配信 CNN.co.jp

テヘラン(CNN) イランサッカー界のスタープレーヤー、
アリ・カリミ選手(31)が、イスラム教が定めるラマダン
(断食月)中の断食を破ったとして、所属チームのエスティル
アジンから解雇された。同チームがウェブサイト上で発表した。

ウェブサイトでは、カリミ選手がチーム当局のたび重なる警告を
無視したため解雇に至ったと説明。さらに、カリミ選手がイラン
サッカー協会の幹部を侮辱したとして非難している。

イラン学生通信(ISNA)によると、カリミ選手は協会幹部を侮辱
したとされる問題について、何も誤ったことはしていないと主張
しているという。

カリミ選手はイランスポーツ界で最も有名な選手の1人で、
「アジアのマラドーナ」、「テヘランの魔術師」などの異名を
持つ。ドイツのバイエルン・ミュンヘンでプレーした経験もある。

イランの法律では、ラマダン中、すべてのイスラム教徒に断食の
実践が義務付けられている。
--------------ここまで--------------

別の国では工事従事者は水分補給をして良いと
偉い人がファトワ?でしたっけを出したという
ニュースを見たんですけど、これは特殊な事例
なんでしょうか。


長々とすみません。
日本の信者の人はどうするのか気になりまして。

タイトル基本的には・・・
記事No3099
投稿日: 2010/08/18(Wed) 03:16
投稿者sloth(非イスラム教徒)
命や健康とラマダーン中のサウム(断食)、どっちをとるのかといえば、
命や健康の方です。

体を壊してまでサウムしろとは、クルアーンにもハディースにも書いてありませんし。

ですから、老人、子供、妊婦、ある程度の傷病人などは断食は免除されています。
(授乳中の女性は、法学派や法学者により免除される場合と、免除されない場合があります)
あと、生理中の女性も断食が一時的に免除されますが、この場合は、一時的に断食を中断した分を後でやり直すという法学派が多いですね。
(あと、老人、子供、妊婦、ある程度の傷病人などの場合は、あとから断食のやり直しをしないで良い法学派が多いです)
それから、痴呆の人や、精神障害者の場合は、サウム(断食)をしなくても良い(というかサウムをすること自体が無意味である)としている法学派も、あります。

・・・で、ラマダン月のサウム(断食)とは直接関係ないですが、餓死しそうな時に、飲食物が豚肉とお酒しかない場合は、それらを食べることは、100%禁忌なハラームにはあたりません。

・・・と、いうわけで、スンニー系の諸法学派のメインストリームでは、健康と断食とどちらをとるのかと言われれば、健康をとるべき、というコトになっています。
ですから、重度の熱中症になってしまった人が水分補給をすることは、ハラームではありません。(水分取らなくてなんとかなるレベルの熱中症の場合は、よくわかりませんけど・・・)
で、熱中症対策として、我々非イスラム教徒が水分を差しだす行為自体はハラールでもハラームでもありません。
(非イスラム教徒は、キリスト教徒やユダヤ教徒などを除き、死後は自動的に地獄行きなので、その言動は、善行も悪行も関係ない、無意味な<圏外>な言動になるんですよね・・・)
で、そーゆー非イスラム教徒から差しだされた飲み物を受け取って、飲むか否かは、各イスラム教徒が、自分の肉体的状況を鑑みて判断すべきものですので、多神教さんがポカリスエットなどを提供したいと思えば、提供なさればいいと思います。


それから、基本的には、ラマダーン月のサウム(断食)は、健常な肉体とちゃんとした判断力を持った成人イスラム教徒の義務ですので、
ブルー・カラーの労働者だろうとホワイト・カラーの労働者だろうと、職種に関係なく、飲食・喫煙などを絶たねばなりません。
また、断食月の断食のルールとして、断食をしていても断食をしていない時と同じ生活をしなければならないというモノが、<原則的には>、あります。
(断食してるからといって、仕事の質・量・時間を減らしてはいけないなど・・・)

ですので、どこぞのアラブ産油国のお偉いさんが出した「肉体労働者は断食の一部免除」というヤツは、イスラム教徒内でも賛否両論があるようです。

そこら辺の事情を踏まえると、イランのスポーツ選手の断食にまつわる解雇の件は、「あり」ともいえますし「なし」ともいえますね。


・・・大金持ちのイスラム教徒の中には、今年は南半球のめいっぱい南なあたり過ごす人もいるそうですよ・・・。(今、あちらは冬で、日が短いですからね〜・・・)

タイトルラマダーン
記事No3107
投稿日: 2010/08/19(Thu) 10:32
投稿者あぶ管理人   <akira_hamanaka@yahoo.co.jp>
断食をしてない人から心配してもらい、それに対してやはり断食をしていない人がまともな回答をしているのに、感謝します。

二人とも実際に信仰を持つものがどのような気持ちで断食しているのか、神の名を唱えながら、断食をやってみればいろいろなことがわかるでしょう。外から見る場合、内から見る場合、捉え方は変わってきます。

ラマダーンは聖なる月で、断食を通して、信仰を強化し、哀れみを知り、物質欲を拭い去り・・・・たくさんのことを信仰に合わせて学び取れます。

タイトルスポーツ選手
記事No3108
投稿日: 2010/08/19(Thu) 11:16
投稿者あぶ管理人   <akira_hamanaka@yahoo.co.jp>
熱中症、スポーツ選手については私の現場でもあり、答えておかねばなりません。

イスラムではサホール(断食に入るときの食事)はできるだけ遅く、そして、フトゥール(断食明けの食事)はできるだけ早く取るように薦められており、負担が少ないように配慮がなされております。
やせ我慢大会出場者が断食をしているのではなく、世界の16億のムスリム全員が断食をしていますので、ちゃんとやり方を守っていれば、普通の仕事をしている人なら誰でも問題なく断食はできるものです。

ただ、これも個人差がありますので、どうしても空腹で耐えられない、体温が上がって続けられないなどの理由があれば、その場合は断食を中断してもいいでしょう。

私は現在ヌサ・マハスリというマレーシアのプロバドミントンチームに関係しています。バドミントンはプロ選手にとって過酷な競技です。ヌサ・マハスリのホームページの中に7,8年前にこのように書きました。

★ラマダーン月の断食期間の練習について
 ラマダーンとはイスラム暦9月のことであり、年に一度めぐってくる聖なる月とされている。人々は俗生活に反省をし、自分の生活を見直す期間であり、また、日中は日没まで飲食を絶つというのが、このラマダーン月である。ヌサマハスリのメンバーの大半はイスラム教徒であり、断食を行なっている。
 ミスボンコーチ曰く「ラマダーン月の練習こそ、神の祝福があり価値がある。他国の選手が練習しているときに、断食だからと練習を休めば差をつけられる。逆に、気合居れて行なえば、ラマダーン月だからこそ神のバラカ(めぐみ)は絶大なのだ。」
 ということで、断食期間中も、普段と変らぬ練習を行なうとの意気込みである。水分を取らずに練習することは、熱帯のマレーシアにおいては過酷であり、どうしても普段と同じ練習は無理だろうが、その期間にこそ精神力が養われるようだ。

http://nusa-mahsuri.com/nusa4.htm から抜粋

実際体温が上がりながらも必死になって練習している彼らを見ており、ときどき額に手をあてて体温の具合をみています。私も学生時代、同様に練習をしていました。これは肉体労働よりもはるかに過酷で、限界に挑戦しているようなものです。練習が終わって夕方にはふらふら状態。。。。

このチームでは、コーチは、断食を続けるか、断念するかについて、口出しはしません。すべて、選手個人個人に任されております。スポーツ選手にとって体の状態をしっていることは大切なことです。また、コーチもいざというときは処置ができます。しかし、ほとんど誰も断食をリタイヤするものはいませんでした。もちろん熱中症で病院に運ばれるものもいません。

ただし、過酷な練習をしても大丈夫な人がいるのだからと、自分自身にもあてはめないでください。彼らは、普段より訓練をしており、耐えれるだけの体力があるからなので、一般の人たちはとても真似はできないのです。それぞれ個人差があるということは知っておいてください。

・・・続きます

タイトル参考になりました
記事No3109
投稿日: 2010/08/19(Thu) 19:59
投稿者多神教
どうも質問した者です。
信者の方とそうでない方から回答を頂けて嬉しいです。
どちらからも客観と主観の意見を知れて良かったです。

簡潔な感想としては「神を信じるのは大変だな」って
ところです。ただ、信じることに対して身体を張れる
のは凄いとは思います。


工事従事者の水分補給については欧米の批判の矛先を
避ける目的もある。ってニュースではやってました。
賛否両論があるのは、イスラム色の濃淡の差なのかな
とか考えました(産油国は一概には言えませんが)


管理人さんはバドミントン界では割と有名なのですね。
スポーツの世界では指導者が絶対的な存在の場合が
あったりするので、選手に無理をさせすぎないよう
上の立場の人が気をつけて欲しいと思う次第です。


少し古いですがスポーツとイスラムについては↓を
読んで気になった部分もあるので、ご意見を聞いて
みたいです(お暇なときにでもご覧下さい)
http://blog.goo.ne.jp/tintonshan/c/a2bb5bc8e2f590b66732171b9613960f

思えばサッカー以外で話題に上がらないなぁ。と。

タイトル競技スポーツ
記事No3111
投稿日: 2010/08/19(Thu) 21:53
投稿者あぶ管理人
統計として興味深いレポートである一方、考えてみれば特に驚くべきこともないレポートでもある。

スポーツは、まずその国の生活水準が大きく影響してくる。
まだまだイスラム諸国は、生活水準の面でも、施設の面でも劣っているのは明らかである。スポーツしたくても、スポーツをするだけの生活のゆとりがないし、それを行う施設もない。イスラム諸国に限らず発展途上国は同様の状況である。

イランの神学者のような意見もあるだろうが、一般的には、イスラムはスポーツを奨励している。
預言者の時代にマスジドの敷地で、弓の稽古をしたり、乗馬を行ったりしている。

さて、オリンピックのようなトップを競うスポーツで結果を残すには、資金と組織が必要であることは間違いない。今のイスラム諸国では到底望めない状況だ。日本のように生活にゆとりがありスポーツが普及している国でも、競技団体に、資金が潤沢になく、組織もボランティアで動いているために、思うようには結果が出せていない。言い換えれば、イスラム諸国や発展途上国は底辺も頂点も育ってない。日本は、底辺が広いが頂点が高くなれない。

先述のヌサ・マハスリはバドミントン界では最強に位置するプロチームだが、精神力を養うためにイスラムへの信仰をうまくリンクしている。また、コーチと選手の信頼関係、チームワークもイスラム的人間関係を身につけさせるという努力をしている。資金もないのにがんばってると私は評価している。
一方、ヨーロッパのプロチームはスポンサーが付き、ビジネスとして団体運営をやっており、スポーツ選手にとっては理想的な環境がある。
これらが同じ土俵で競っているのだから厳しい。しかし、今のところまだヌサ・マハスリは通用している。

タイトルRe: 競技スポーツ
記事No3113
投稿日: 2010/08/20(Fri) 15:41
投稿者匿名
> 統計として興味深いレポートである一方、考えてみれば特に驚くべきこともないレポートでもある。

エジプト事情は知らないのですが…今年の1月に読売新聞にエジプトのラシュワン元選手の話が書いてありました。

彼はその昔、ロス五輪の柔道決勝戦で山下元選手と戦ったエジプトの選手。山下選手が怪我した右足を引きずっているのを知りながら、「怪我した足を攻撃するのは潔くない」と、山下の右足を攻撃せずに戦い、準優勝になった選手です。
いまでもエジプトは柔道でかなり強いですよね。

モンゴルから力士候補をリクルートしてくるように、エジプトでも元々似たような伝統スポーツがあって柔道にも力が入っているのでしょうかね。

スポンサーの有無もそうだし、人気のスポーツかどうかもスポーツの成長に関係していると思います。

クリケットが盛んな国では野球の人気が低いどころか認知度も低い。逆に野球の盛んな日本でも未だにクリケットを知らない人が多い。

タイトルラマダーンは楽しいか苦しいか
記事No3112
投稿日: 2010/08/20(Fri) 12:10
投稿者あぶ管理人
外から見ると「神への信仰(断食)はたいへん」というイメージを持つそうですが、それについてちょっと書いておきます。

実は私も入信後4,5年はそのいうイメージを持っており、ラマダーンが迫るにしたがい恐怖が忍び寄ると感じていました。ところがその後徐々にイメージが変わってきました。
イスラム諸国の人たちに聞くと、大半がラマダーン到来は楽しいと感じているようです。

夕方の日々の断食明けには、同胞が次々とマスジドに集まってきて、ひとときの断食明けを楽しみます。
各家庭では夕暮れ時来客があり、食事を共にします。残る11ヶ月にはない人が集まる月なのです。
また、盆と正月が一度に来るような断食明け祭が近づくに従いその準備としてのショッピングは楽しみでもあります。

また、貧乏な人にとってもラマダーン到来はうれしいものです。マスジドでは裕福な者たちが食事を振る舞い、誰でも気兼ねなく参加できるからです。

日本においてはマスジドが遠くなかなか日々の断食明けごとに参加することはできないでしょうが、一度くらいは最寄のマスジドに出かけてみてください。


そして、私が最初恐怖に感じてた断食ですが、同じ行でも、行動を起こすことで達成される『礼拝』とくらべて、何の行動も起こさないことで達成される『断食』は、いとも簡単にできる楽な行です。最初の3日間くらいは食べれない不自由さと空腹感でたいへんに思いますが、それ以降は、慣れてなんでもなくなります。断食は、苦しくはない比較的楽な行と思いたいものです。
また余計な行動をせず、ひたすら仕事と勉強に打ち込める貴重な1ヶ月、自分の信仰を省みる貴重な1ヶ月、世界に目を向けれる貴重な1ヶ月と感じております。

タイトルRe: ラマダーンは楽しいか苦しいか
記事No3114
投稿日: 2010/08/21(Sat) 16:14
投稿者匿名
私の場合、ラマダーンが楽しい、とまではまだいきませんが、「辛いなぁ」「きついなぁ」というよりも、「よーし、頑張るぞ」という感じに近いです。

気が引き締まりつつ。

柔道が好きだから乱取りも頑張れる、テニスが好きだから1000本レシーブも頑張れる。

そんな感じです。

タイトルいつまで続くか猛暑
記事No3119
投稿日: 2010/08/23(Mon) 12:02
投稿者あぶ管理人   <akira_hamanaka@yahoo.co.jp>
8月下旬になっても猛暑が続いています。
断食もたいへんだと思います。

サホール(曙前の食事)は食事と水分、塩分はちゃんと取り断食にのぞんでください。もしも体に異変が感じられたときは、断食を中断する勇気も必要です。
そして、イフタール(日の入直後の食事)は断食終わりの時間が来次第すみやかに取ってください。サホールをちゃんと取ること、すみやかにイフタールを取ることはスンナです。

とくに野外で働く方、スポーツをされる方は体調に注意してください。