この にそえて ・・・ no.2


  

 環境・・・ 巨樹のある環境は様々で、それがある種樹の個性になっている場合もある。広い神域で悠々と

   繁茂する樹もあれば、建物に取り囲まれて、いかにも窮屈そうな樹もある。 ひどいのになると、建つ家の形に

   合わせて枝を刈られて、どんどんと変形していった樹もある。

   大きな樹があって、根元に小さな祠が祀られる。 やがて灯ろうが建ち周りを囲って小さな神域となる。 秋には

   ささやかな祭りが催され、木陰では子供達が遊んでいる。 やがて町がだんだん大きくなってくると、そんな小

   さな神域はみるまに取り囲まれて閉塞された樹は見る影もない。 それでも、丹念に掃き清められた楠大荒神

   の小さな灯ろうには、暗いうちから灯明の小さなローソクがいつも灯されているようだ。 きっとこの樹の下で遊

   んだ事のある人達が、ずっと灯しているのだろう。


三社神社の楠 目通り6.45m/樹高24m/枝張り15m/香川県高松市花ノ宮町・三社神社